宮原小の誇り、永遠に/閉校式行う
58年の歴史に幕/児童は鏡原小学校へ
4月から鏡原小学校と統合する宮原小学校の閉校式が28日、同校体育館で行われた。地域住民をはじめ関係者の多数が出席し、58年の歴史を振り返りながら惜別の時を共有した。児童は思い出いっぱいの学校生活を振り返り、地域住民は学びの拠点の最後の瞬間を惜しんだ。自治会長の川満定秀さんは「学校はなくなるかもしれないが、私たちの心から消えることは永遠にない」と声を振り絞った。
宮原小の前身は鏡原小の山北分校で、
1948年に設立されている。その後57年に宮原小として独立認可された。61年には高野集落から児童が就学するようになり、在籍数は319人まで増えた時期もあった。
しかし、その後は少子化の波を受けて年々減少。2014年度の在籍児童はわずか12人だった。27日には最後の卒業式が行われ2人が卒業、累計卒業者数は1190人となった。
閉校式では、はじめに国仲克紀校長が「宮原小学校は地域の教育と文化の中心として歴史と伝統を築いてきた」と強調。「長年にわたる皆さまからの愛情は必ずや子どもたちの心に受け継がれ、明日に向かって羽ばたく心の支えになると信じている」と述べ、学校を支えてきた地域に深い感謝の気持ちを伝えた。
続いて下地敏彦市長があいさつし、より良い教育環境のために苦渋の決断を下した地域住民らすべての関係者に感謝の意を表した。
その上で、4月から鏡原小、鏡原中学校に通う子どもたちの健やかな成長を期待。父母ら地域住民に「生きる力を育み、その未来を開き、世界へと羽ばたいていけるよう一層の支援をお願いしたい」と述べた。
宮古教育事務所の田場秀樹所長、宮國博教育長、同校PTAの豊見山春美会長もそれぞれあいさつし、宮原小の伝統を築いてきた関係者に感謝を込めた。
児童はたくさんの思い出を語った。卒業生の木曽羽美(うみ)さんは「楽しい小学校生活が送れたのは宮原小学校のおかげです。私は宮原小の児童、卒業生で良かったです」と誇った。
同じく卒業生の豊見山楠生(なお)さんは「私は宮原小学校がなくなるのは悲しいけど、学校で学んだ大切なことを中学校でも生かしたい」と話した。
この後、国仲校長が校旗を返納。宮國教育長に手渡し、宮原小学校58年の歴史に幕を下ろした。
最後は参加者全員で校歌を斉唱した。中にはこみ上げてくる感情を抑えきれない人も。それぞれが閉校の寂しさをかみしめながら最後の校歌を歌った。