「新婚の森」のヤシ伐採/記念植樹した50本
市発注の遊歩道整備で/市民「配慮に欠ける」
宮古を訪れた新婚旅行者が市熱帯植物園の「新婚の森」に記念植樹したヤシが、市の発注した遊歩道整備工事で約50本伐採されていたことが7日までに分かった。担当部署は「現場の状況から植え替えは無理と判断した」と説明しているが、市民からは「配慮に欠ける」と憤りの声が上がっている。
新婚の森での記念植樹は、本土からの観光誘客を図ろうと、1979年ごろから旧平良市と観光協会が中心になって企画。現在は行われていないが、市観光商工局によると約100本が植えられたとみている。
新婚の森整備は、市が進める熱帯植物園再生工事の一つで、一括交付金を活用。2013、14年度で約1億円を投入し遊歩道や展望台などを整備した。
新婚の森の整備は遊歩道(延長1・2㌔、幅員2・2㍍)をアスファルト舗装にし、1日から供用開始していた。
工事を発注した市観光商工局商工物産交流課によると、伐採されたヤシは遊歩道沿いに植えられていた。枯れたり、倒木したり、または工事に支障があることから伐採したという。現在は十数本しか残っていない。
担当者は「大木になっており、現場の状況から大型重機での根回しも難しく、植え替えは現実的に無理と判断した」と話している。
観光協会に保管されていた記念植樹者の名簿が無くなっており、伐採は本人たちに連絡されていない。同課は「名簿が保管されておれば連絡する予定だった」と釈明している。
遊歩道の両側には、新婚夫婦の名前や出身地などが刻まれたネームプレート(名札)約50枚が散乱しており、工事のずさんさが浮き彫りとなっている。
市民運動実践協議会グリーン部会の友利吉博部会長は「成長したヤシは、あの時に植えたものだと子や孫に自慢できる。その機会を断ち切ってしまったようなもの。街路樹のせん定もそうだが、樹木に対する配慮が足りない」と話した。
遊歩道でウオーキングしていた50代の男性は「ヤシが植えられた目的を知っていれば伐採は出来なかったはず。あまりにも配慮に欠ける行為」と語った。
同課は伐採したヤシの代わりに苗木を植え、散乱しているネームプレートは「早急に回収し、付け替える」と話している。
ネームプレートは6日に、同工事を請け負った業者が回収した。