行雲流水
2015年4月9日(木)8:55
「春高野球観戦記」(行雲流水)
高校野球の春季大会で、宮古高校チームが準優勝を果たした。五つの試合を勝ち抜いて6戦目で力尽きたが、離島のハンディを背負っての敢闘だっただけに、感動もひとしおだった
▼いくつかの試合を観戦した印象をつづってみたい。試合直前の準備運動や練習風景を対戦相手と比較してみても、キビキビした動作と整然とした秩序ある一体感が抜きん出ていた。藤井智監督の日頃の指導や理念を垣間見る思いがした
▼本番では、松川竜之丞投手のピンチに動じない投球が光っていた。ランナーを背負うと球が走る。巡航速度は120㌔台だが、ピンチを迎えると130㌔台後半の速球をビシビシ投げ込む。内外野の機敏な動きとも相まって、後続を断つ。観客席の不安は一転、安堵(あんど)と歓喜の拍手に変わっていった
▼だが、決勝戦では130㌔後半台のスピードが出なかった。連投の疲れが出たのだろう。夏の大会へ向けての課題のひとつだ。課題といえば、打撃力のレベルアップが最大の課題だ
▼決勝戦では初回から10者連続三振を喫した。多くの選手が不測の腸炎を患い、病み上がりだったとはいえ、観客席ではため息がもれるばかり。6イニング目にやっと砂川大河の三遊間を抜くヒットが出て愁眉を開いたが、スコアボードのヒット数は興南15:宮古2だった
▼ともあれ、目標は甲子園だ。春の大会は、甲子園へ向けての腕だめしだったと思いたい。自信がついたし、多くの課題を見つけることもできた。新たな伝統が生まれそうな予感がする。大いに期待したい。