不法投棄「ゼロ」宣言/宮古島市
県内最悪の汚名返上/撤去費用5300万円投じる
下地敏彦市長は15日の会見で、県内で最も多かった宮古管内の不法投棄(一般廃棄物)ごみの全部を撤去したと発表した。2010年度に県に報告してから足掛け5年、原野や崖下に積み上げられた大量のごみがようやく撤去された。この間に投じられた費用は5300万円にも上った。下地市長は「もう不法投棄はやめてほしい」と述べ、市民の意識向上を訴えた。
宮古管内における不法投棄ごみは、10年度に県に報告した時点で県全体
の9割に当たる8308㌧(産業廃棄物含む)だった。
これを受けて市は11年11月に不法投棄撲滅宣言を発表。「不法投棄を許さないしまづくりを目指す」として撤去作業に着手した。
翌12年には一括交付金3000万円を活用して31カ所の不法投棄ごみ約6000㌧を撤去したが、この段階でも県全体に占める割合は約6割に及んだ。
残った1056㌧のごみは崖下に不法投棄されたもので「撤去は不可能」とされていたが、市はこれを放置したままでは「不法投棄の島」の汚名が返上できないと判断。単費を投入して撤去に乗り出した。
危険を伴う撤去作業は慎重に行われた。作業員が崖下に降り、手作業でごみを袋詰めし、地上のクレーンでそれをつり上げるという作業を繰り返した。
結果として3月末までに1056㌧のごみの全部を撤去し、不法投棄ごみのゼロ宣言に至っている。
下地市長は「やっと完了することができた。観光の推進と環境保全という意味でも宮古島にとって画期的なことになった」と長い年月をかけて実施してきた撤去作業を振り返った。
市民に対しては「不法投棄はやらないでほしい。ごみは毎週分別して回収しているので、ぜひそれに合わせた形でごみを出していただきたい」と呼び掛けた。
財政負担についても言及し、「不法投棄がなければ5300万円というお金を使うこともなかった」と話して環境保全に対する市民の意識向上を促した。