豊穣、子孫繁栄を祈願/池間、佐良浜、西原
男衆、豪快にクイチャー
五穀豊穣、子孫繁栄を祈願するミャークヅツが11日から、池間海洋民族の元島である平良池間や伊良部佐良浜、平良西原の3地区でスタートした。島内外から多くの男たちが生まれ故郷に結集、豪快なクイチャーを踊って伝統行事を盛り上げた。
池間島
池間島の「ミャークヅツ」は初日の11日、男女の踊り手たちが二重の輪でクイチャーを奉納。「ヒヤサッサ」の掛け声に合わせて、歓喜の踊りを体全体で表現した。
男性らは4つのムトゥ(元家)にそれぞれ集まった。数え55歳の計30人が新会員として迎えられた。
クイチャーを踊る時間が迫ると水浜広場に移動した。住民らが見守る中、元ツカサンマ(司母)たちが輪をつくり、神歌を唱和。手に持つ扇で広場を清めた。
法被に身を包んだ男性らが、女性たちの外側に大きな輪をつくり、二重の輪で踊った。男性らは豪快なクイチャーを披露し、会場を沸かせた。
新会員の佐久本寿典さんは「素晴らしい一日だ。先輩たちから学んだことを後輩につなぎたい」、佐久本寧さんは「不安もあったが、優しい先輩に恵まれ、無事に終わった。感動した」と語った。
西原
平良西原のミャークヅツは12日、パレードを行った。あいにくの雨模様だったが、参加した男たちはずぶ濡れになりながら集落内を練り歩いた。交差点では豪快なクイチャーを披露し、五穀豊穣と子孫繁栄を祈願した。
同日午前7時にはマスムイウヤたちが地域の拝所に集まり、この1年で生まれた西原出身関係者の子どもたち51人を報告した。
この後午後3時から大勢の男たちが集落内をパレード。黒いスーツや白いシャツ姿で行進した。
交差点に差し掛かると、立ち止まってクイチャーを踊った。旗振り役の男たちは「五穀豊穣」と書かれた大きな旗を数人がかりで豪快に持ち上げてミャークヅツを盛り上げた。
最後はジャーと呼ばれる集会場に集まりクイチャーを奉納。奉納相撲も披露され、祭りは大盛況だった。
佐良浜池間添・前里添
伊良部佐良浜のミャークヅツは11日から4日間の日程で始まった。旧池間村(現池間添)と旧前里村(現前里添)の2カ所の聖地でそれぞれ行われ「ヒヤサッサ」の威勢の良い掛け声と共に祈願した。
池間添では数え年47歳が22人、前里添では50歳のミィウヤ(新入生)37人が参加した。
ツカサンマが祈りをささげた後、ミィウヤたちはそれぞれの拝所前の広場で躍動感にあふれたクイチャーを踊り、これまで無事に過ごしてきたことに感謝すると共にこれからの健康を祈願した。
活気に満ちた踊りの輪ができると、周りで見ていた人たちも加わり、次第に大きな円になった。
前里添のミィウヤの一人、川満敏幸さんは「新たに先輩たちの仲間入りができたのはうれしいが神事なので緊張する」と話した。
池間添の仲宗根智さんは「1週間休暇をとって里帰りした。神事なのでしきたりも多く、失敗無くできるのか心配で、だいぶ緊張している」と話した。