子孫繁栄、島の発展祈願/下地来間島
島を挙げヤーマス御願
下地来間島の伝統行事「ヤーマス御願」が甲午に当たる11日、2日間の日程で始まった。初日は島立てをしたと伝えられている3兄弟の本家で昨年のヤーマス御願から今年までの1年間に生まれた子どもを親族に披露する「マスムィ」が行われた。三本家に集まった住民たちが子どもの誕生を祝うと共に健やかな成長を祈願した。
昔、来間島を救い島を繁栄させたと伝えられる3兄弟の長男の本家、スムリャーブナカ(長間盛史さん宅)の親族ではこの1年に7人の子が誕生した。
昨年12月に長男・航夜君が誕生した奥平正行さん(22)が「仲間に入れた、認められたという気持ちになる」と話し、妻の千里さんと笑顔で長男を紹介した。
スムリャーブナカでは、長老が「サラピャースのアヤグ」と呼ばれる祈願詩を歌い、神々に感謝しながら神酒を回し飲み、祝った。
2日目の12日は集落内でパレードが行われ、男性たちによる棒振りや女性たちの奉納踊りがにぎやかに繰り広げられた。島内には郷友や観光客らも大勢訪れ、島は祭り一色に包まれた。
パレードは長男家「スムリャーブナカ」を先頭に、二男家「ウプヤーブナカ」、三男家「ヤーマスヤーブナカ」の三家の親族らが、それぞれの衣装を着て集落内を練り歩いた。
男性たちは、「ヒーヤサッサ」と勇ましい声を張り上げて棒を振り、勇壮な舞いで祭りを盛り上げた。
法被を着た女性たちは優雅な踊りを披露。沿道で地元住民や観光客らも手拍子や指笛で祭りに参加し、一緒に伝統行事を楽しんだ。
横浜市から観光で訪れている鈴木雄一さんと匡子さん夫婦は「この祭りは初めて見た。島の人たちがこうして伝統を受け継いでいることがすごいことだと思う」と感想を述べた。
パレード後には、雨ごい座と呼ばれる祭場に集合。天然の会場を舞台に、踊りを奉納したほか、最後はクイチャーを踊って祭りを締めくくった。
ヤーマスの語源はヤー(家)がマス(増す)に由来し、子孫繁栄を意味するといわれている。ヤーマス御願は旧暦8~9月の甲午の日に行われ、期間中は島内外から出身者が帰省し島は活気にあふれる。