行雲流水
2015年5月9日(土)8:55
「帝国議会での南原繁」(行雲流水)
5月7日の本紙は「陸自配備に賛否の声」の見出しで500人規模の陸上自衛隊警備部隊を宮古島に配備する防衛省方針を日本共産党宮古郡委員会の調査による詳細な配備候補地の地図と共に報道している
▼自衛隊配備に賛否の声があるのは当然だ。日本国憲法が公布された1946年11月3日以来日本の国防について論議の的となってきた9条は、世界で唯一の平和憲法の根幹をなすものであり日本の平和を維持していくには絶対に必要な条項であると、教えられてきた。それからすると自衛隊配備に反対する意見があって不思議ではない
▼1945年敗戦、1951年講和条約締結まで日本は事実上アメリカ軍の司令官マッカーサーの支配下にあった。46年、明治憲法に代わる日本国憲法草案の第90回帝国議会での審議で「所謂戦争放棄の条章にしてでございます」と貴族院議員であり東京帝国大学(東京大学)の総長であった南原繁は吉田茂総理に幾つかの問題点を問いかけている
▼その中の一つ「戦争はあってはならぬ、是は普遍的なる政治道徳の原理であります」としながら「少なくとも国家としての自衛権と、それに必要なる最小限度の兵備を考えることは当然のことでございます」
▼それに対し吉田総理は「自衛的の戦争をも放棄したのであるか」という質問ですが日本のおかれた状況では「第一に国権を回復し、独立を回復することが差迫っての問題」との認識を示し9条については回答していない。主権回復を喫緊の課題とする講和条約を控えての政治的配慮であろう
▼自衛隊配備の賛否論議は言論の自由・表現の自由でこれから激しくなるだろう。