忌まわしき戦 もう二度と/宮古島市
初の合同慰霊祭に800人/全戦没者追悼式、平和祈念式
5地区の慰霊祭を兼ねる宮古島市の全戦没者追悼式及び平和祈念式(主催・宮古島市、市教育委員会)が23日、平良のマティダ市民劇場で執り行われた。厳粛な雰囲気の中、約800人の参列者が3000柱余のみ霊を慰め、恒久平和の誓いを新たにした。下地敏彦市長は「世界平和の実現に向かって力強く進む」と宣言。遺族会の川満俊夫会長は「あの忌まわしい戦争の惨禍が繰り返されてはならない」と訴えた。会場は戦没者への鎮魂と、平和を希求する祈りに包まれた。
戦後70年、遺族会の要請を受けた市が5地区の慰霊祭を合同で開催することを決めた。同時に平和宣言文を発表し、節目の年に恒久平和への思いを込めた。
式典は午前11時50分ごろに開会した。はじめに下地市長が「郷土の風景、街並みはがれきの島と化した70年前とは比べることもできないほど発展を遂げた」と戦後70年を振り返った。その上で「現在の発展は、戦没者の貴い犠牲の上にあることを私たちは決して忘れることはない」と述べ、戦争や紛争のない平和な世界の実現を決意した。
全参列者が黙とうを捧げた後、市戦没者遺族会の川満会長が「年月と共に遺族も高齢化し、国民の半数以上が戦争を知らない世代となった。それだけに戦争の悲惨さと平和の尊さを言い伝え、語り継がなければならない」と決意。「戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り、戦禍に倒れた人々に心から追悼の意を表し、世界平和とわが国の一層の発展を願わなければならないと決意を新たにしている」と述べた。
この後、北中学校の伊志嶺元隆君と宮古高校の大口海皇君の2人が平和を考える作文を朗読した。
伊志嶺君は「戦争をなくすのは僕たち。平和を創りあげるのも僕たち一人一人です」と思いを込め、大口君は「対話による行動を続ければ、この地球上から戦争をなくすことができ、平和な世の中をつくりあげることができるかもしれないと考える」と訴えた。
宮古島市議会の真栄城徳彦議長と県宮古事務所の久貝富一所長もそれぞれあいさつを述べ、恒久平和への誓いを新たにした。
代表者献花に続いて下地市長が平和宣言を読み上げた。「宮古島市は、平和憲法の精神に則り、人類の永遠の平和を希求するとともにすべての国の核兵器の全面廃絶と軍備縮小を強く訴えるため『核兵器廃絶平和都市宣言』を行っており、これからも世界平和の実現に向かって力強く進んでいくことを誓う」とした。
最後に参列者一人一人が献花を行い、戦没者のみ霊を慰めるとともに、恒久平和の実現を希求。二度と戦争を繰り返さない誓いを胸に刻み込んだ。