撤去現場に大量のごみ/城辺崖下3カ所
本当に「ゼロ宣言」?/受注業者は完了報告
宮古島市が2300万円の予算を掛け、城辺保良地区などの崖下3カ所で不法投棄ごみを撤去したはずの現場に、いまだに大量のごみが残っていることが2日までに分かった。受注業者は、撤去完了を市に報告している。本紙が撮影した現場写真を確認した市環境衛生課の宮國克信課長は「これは撤去されているとはいえない」と状況を指摘。「回収しなければ市民に説明できない」と話した。下地敏彦市長は4月15日に「不法投棄ゼロ宣言」を行っている。
宮古管内における不法投棄ごみは、2010年度は県全体の9割に当たる8308㌧(産業廃棄物含む)だった。
これを受け市は11年11月に不法投棄撲滅宣言を発表。12年には一括交付金3000万円を活用して31カ所の不法投棄ごみ約6000㌧を撤去したが、この段階でも県全体に占める割合は約6割に及んだ。
残った1056㌧のごみは今回撤去したとされる崖下に不法投棄されたもので「撤去は不可能」とされていた。
市はこれを放置したままでは「不法投棄の島」の汚名が返上できないと判断。市の予算を投入して撤去に乗り出した。
不法投棄されたごみの撤去は、保良から友利までの海岸線の崖下3カ所で、昨年10月31日~今年3月25日の工期で受注業者による撤去作業が行われた。本紙がいまだに大量に残っているごみを確認したのはこのうちの1カ所。
この受注業者のトラックが日曜日に、市クリーンセンター内で「何度も不自然な計量作業を行っている」との訴えが市民からあった。
環境衛生課はその事実を認めており、理由については「ごみの量が多いので混雑を避けるために日曜日に不法投棄ごみの搬入をしてもらった。また、不法投棄ごみを積んだ10㌧トラックでは計量できないので、そのごみを2㌧と4㌧トラックに積み替えて計量を行った」と説明した。
しかし、この業者が市に報告した事業報告では、1カ所の撤去前、撤去後の写真が掲載されておらず、その場所で本紙が撤去状況を確認したところ、まだ大量の不法投棄ごみが残っていることが分かった。
さらに、業者の報告書の中には、この3カ所以外で実施した撤去作業の写真が掲載されていることも分かり、疑問点が次々と出てきた。
宮国課長は「確かに、報告書に事業とは関係ない場所の撤去作業の写真があるのはおかしい」との見解を示している。
この問題については、開会中の市議会6月定例会一般質問で亀濱玲子氏が取り上げており、当局の答弁が注目される。