検証の必要性指摘/牡丹社事件
大浜准教授が講話/琉大公開講座
琉球大学公開講座「沖縄近現代史事始め-『戦後』70年目にみる『牡丹社事件』in宮古島」が25日、市中央公民館視聴覚室で開かれた。琉球大学法文学部准教授の大浜郁子氏が講師を務め、事件の背景や疑問点などについていくつかの説を紹介し、検証の必要性を指摘した。
牡丹社事件とは、1871年に台風のため台湾東南海岸に漂着した宮古の船から上陸した琉球島民66人のうち、54人が現地人に惨殺されたとされるもの。それを受け明治政府は1874年に台湾へ出兵。それに抗議する清国と交渉を進めた結果、琉球は日本の属領であることを認めさせ、1879年には琉球藩と琉球王国を廃止し沖縄県を設置する琉球処分を強行した。
通説によると、漂着した琉球島民は現地人の集落で食事を振る舞われ、宿泊させてもらったものの、夜中に携行品などを奪い取られたことから翌朝に逃げ出し、漢族の家に逃げ込んだが、追ってきた現地人に多くが惨殺され、逃げ延び生還できたのは12人だったとされている。惨殺された理由について大浜氏は、当時は物品で外来者の安全を担保するという風習が現地にあり、現地人は逃げ込んだ漢族の人に対し酒の提供を要求したが、準備できなかったことから殺されたのではないかとの説を紹介した。
事件の舞台は牡丹社ではなかったとの説もあるという大浜氏は、場所が特定できていない中で日本が出兵した可能性を指摘。今一度、台湾出兵の正当性について検証する必要があるのではないかとの考えを示した。
講座には市民約25人が参加し、大浜氏の話に聞き入っていた。