新著を市長に贈呈/直木賞作家・古川氏
「宮古から特攻出撃」描く
山口県下関市在住の直木賞作家、古川薫氏(90)が28日、下地敏彦市長を訪ね、新著「君死に給ふことなかれ」(発行・幻冬舎)を贈呈した。宮古島から「赤トンボ」と呼ばれる飛行機で特攻出撃した神風特別攻撃隊・第三次龍虎隊の物語で、古川氏は龍虎隊が敵船に突撃した同じ日の29日に慰霊碑に新著を捧げる。
第三次龍虎隊の隊員は7人。太平洋戦争末期の1945年7月28日、250㌔爆弾を搭載した海軍の九三式中間練習機で、宮古島から沖縄本島沖の米艦隊を目がけ飛び立った。
古川氏は「本ができたので慰霊碑に捧げたいと思った」と来島の目的を話し、下地市長に3冊を贈呈、「図書館に置いてほしい」と要望した。
下地市長は、本の贈呈に感謝し「思いがかなって良かったですね」と語った。
古川氏は戦前、戦闘機を造る企業に入社。そこで木製の骨組に羽は布張り、通称「赤トンボ」と呼ばれる複葉の練習機の製作に携わった。
その後、新聞社勤務を経て本格的な文筆活動に入り、1991年に「漂泊者のアリア」で第104回直木賞を受賞。年齢を感じさせない旺盛な文筆活動を展開し、著書は150冊を超える。
古川氏は「赤トンボは自分が手掛けたもので、分身のようなもの」と話す。
宮古島には2014年5月に取材のため初来島した。