行雲流水
2015年8月6日(木)9:01
【行雲流水】「ガス田開発」
中国は、東シナ海で16基のガス田開発プラットホームを建設しているという。いわゆる「日中中間線」付近の中国側海域だ
▼国連海洋法条約は、領土の海岸から200カイリ以内の海域を、沿岸国が管理する排他的経済水域としている。200カイリが互いに干渉し合う隣接国同士では、その中間線まで。しかし大陸棚がからむと、そう単純には割り切れない
▼国連海洋法条約は旧大陸棚条約を抜本改正したもの。改正作業は、大陸棚を有する国の強い抵抗に合って20年間難航した。そのため、大陸棚を有する国の場合は200カイリにこだわらないとの配慮条項を入れて妥協した経緯がある
▼中国は、この条文によって久米島近くの沖縄トラフまで中国の大陸棚に属する排他的経済水域だと主張。日本が主張する中間線論と対立し、日中間の排他的経済水域の境界線は確定していない
▼このような複雑な背景のある国連海洋法条約だが、16基のプラットホームは日本が主張する中間線の中国側に位置している。中国は、現実には抑制的に対応していると言える。また中国は、ガス田から大陸までの海底パイプラインを敷設してあるという。日本が共同開発に参加しても日本までの運送方法はなく、主導権は中国がにぎることになるであろう
▼だが、中国のネライは海底資源開発だけとは限らない。南シナ海の例もある。軍事目的や海洋覇権の意図があるなら、大問題になるであろう。今後、プラットホームに軍事用レーダーが設置されるのかどうか、注目したい。