島の水や歴史学ぶ/自衛隊配備考える集会
「この島・命の水・自衛隊基地配備について考える」集会(主催・「宮古島・命の水・自衛隊基地配備」について考える会)が19日、JAおきなわ宮古地区本部大ホールで開かれた。宮古総合実業高校の前里和洋教諭と環境班が地下水保全について、宮古郷土史研究会の仲宗根將二氏が軍政下にあった戦中戦後の宮古島について、上里樹市議は宮古島への陸上自衛隊配備計画についてそれぞれ語った。
開会に先立ち、主催者を代表して考える会の岸本邦弘代表が、宮古島への陸自配備計画が浮上していることなどを踏まえ「この島をどうすべきか考える時期に来ている。宮古島を良い島のまま次へつないでいくことは私たちの責務。一人一人が気持ちを新たにする必要がある」と呼び掛けた。
前里教諭は、陸自部隊の配備候補地となっている平良西原の旧大福牧場について、地下水源の一つである白川田水源流域の境目に位置していることを指摘。配備により水源へ影響が及ぶ可能性があるとした上で、地下水審議会での議論が必要になるとの認識を示した。
同校環境班(友利和樹班長)の生徒9人は「有機質肥料大量生産による地下水保全と環境保全型農業」と題し、化学肥料が原因とされる硝酸態窒素による地下水汚染を防止するため、有機質肥料を開発し大量生産を目指している取り組みを紹介した。
仲宗根氏は、戦時中の宮古島には3万人の日本軍が駐留し、六つの軍用飛行場がある一大軍事基地だったことを説明。本土からの物資補給はほとんどなく、畑や井戸などは軍に接収されていたこと、軍人、住民ともに死者の大半がマラリアや餓死で命を落とした実情を示した上で「沖縄戦の最大の教訓は、軍隊は国民を守らないということ」と訴えた。
上里市議は宮古島への陸自配備構想について、新聞報道を基に旧大福牧場やその周辺に実弾射撃場や訓練場、弾薬庫、ミサイル部隊、通信施設などの配備、高野漁港付近では着上陸訓練の実施が計画されていると語った。
会場には多くの市民が詰め掛け、真剣な表情で話に聞き入っていた。会の冒頭では、市民グループによる演奏も披露された。