キャーンで大綱引き/上野宮国
旧盆の伝統行事に沸く
旧盆の「送り日」に毎年、上野字宮国で行われる伝統行事「宮国の大綱引き」が28日夜、宮国公民館前の通りで盛大に行われた。地域住民らが「東軍」と「西軍」に分かれ、大きな掛け声で全長約100㍍の大綱を力一杯引き合った。今年は2勝で西軍に軍配が上がり、向こう1年の大漁が約束された。
昔は子供たちが綱を編んでいたが、子どもが少なくなった今は、地域の大人たちが中心になって編み上げている。また、綱の材料となる「キャーン(シイノキカズラ)」が年々減少、綱に必要な材料を地域内だけで集めることが難しくなってきている。
午後9時ごろから、始まりを告げるホラガイと鐘の音が集落内に鳴り響くと、地元の人や旧盆で里帰りした人、観光客らが続々と集まり、公民館前の道路は熱気に包まれた。
綱引き前の踊りを舞った後、東西の綱を結び、開始。威勢良い掛け声を上げながらた汗だくになって綱を引いた。
宮国自治会の宮國健二会長は「今年は早く始めて、子どもたちを休ませたいと思ったが、例年通りの時間になった。それだけ祭りが定着しているということだと思う」と話した。
宮国の大綱引きは1995年、旧上野村の無形民俗文化財に指定された。豊穣(ほうじょう)を祈願する祭りだが、起源は定かではない。