ミサイル配備で戦場に
伊波元宜野湾市長が講演
元宜野湾市長の伊波洋一氏とジャーナリストで映画監督の三上智恵氏を招いての講演会「ミサイル配備が呼ぶ戦場~自衛隊配備で宮古島はどうなる?」(主催・止めよう「自衛隊配備」宮古郡民の会)が29日、JAおきなわ宮古地区本部大ホールで開かれた。伊波氏は宮古島へのミサイル配備計画について「米中戦争を避けるために宮古島を戦場にする仕組み」として対中抑止力になるものではないとの考えを示した。
最近の米軍は沖縄周辺での演習を行っていると語る伊波氏。「これまでは沖縄から戦場に行っていたが、今は沖縄そのものが戦場になることを前提に訓練している。宮古へのミサイル配備は宮古を戦場にする仕組みであり、日本のためではなくアメリカのための計画」との考えを示す。
アメリカは中国による台湾侵攻への対抗策として、日本が集団的自衛権を行使しての参戦を絶対条件とした戦略をシミュレーションしていることを紹介。日本国土に「標的の島」を作り出し、日中による地域を限定した「制限戦争」を行わせ、中国が日本に壊滅的な打撃を与え「敵に教訓を与えた」と宣言して「制限戦争」を終結させることで、核戦争に発展しかねない米中による全面戦争を避けることが目的と説明する。
「宮古へのミサイル配備は、沖縄本島と宮古の間を通過する中国艦船を攻撃する仕組みを作るためのもので、尖閣のためでなく米中戦争のためのもの。そのことを私たちは知っておく必要がある」と訴えた。
講演前に宮古島での陸自配備予定地を視察したという伊波氏は「こんな広大なエリアが基地になるのかと驚いた。島全体が巨大な要塞になってしまう」との懸念を表明。「南西諸島の軍事強化は対抗する中国軍の軍事強化を生み出す。日本のやっていることは平和に結び付くことなのか考えなければならない」との認識を示した。
現在、国会で審議中の安全保障関連法案については「私たちの島が戦場となる戦争が始まろうとしていて、法案可決はその最後の仕上げ。スタートではない。今、日本は戦争の入り口に立っている」と同法案を撤回させる必要性を語った。
伊波氏講演後、伊波氏との対談に登壇した三上氏は、辺野古への米軍新基地建設に反対する人たちの活動を収めた映画「戦場ぬ止(とぅどぅ)み」を制作したことを紹介した上で、「辺野古の基地を止めても、この(宮古島の)ミサイル基地を止めない限りは、沖縄の県土が戦場になってしまう。そう思い、焦っている」とミサイル配備計画に危機感を示した。
会場には多くの市民が来場し、2人の話に真剣な表情で聞き入っていた。