用地取得に108億円/防衛省16年度概算要求
陸自配備で予算計上/千代田と大福の2カ所
防衛省は31日、2016年度予算の概算要求について、離島防衛の初動対応に当たる陸上自衛隊の警備部隊を宮古島に配備するための用地取得費として108億円を計上した。当初、宮古島と奄美大島を合わせた用地取得費として194億円を計上していた。宮古島単独での予算計上は初めて。今後、地権者との交渉など用地取得に向けての動きが加速しそうだ。誘致派は歓迎の動きだが、反対派は危機感を強めている。
防衛省によると取得予定用地は、これまで候補地となっていたゴルフ場の千代田カントリークラブ(上野野原)と旧大福牧場(平良西原)の2カ所。地権者や地元関係者などと交渉を進め、それぞれの用地や地域特性を踏まえて判断する方針。
陸自配備は尖閣諸島周辺を含む東シナ海で活動を活発化させる中国を念頭に、南西諸島の防衛体制を強化する狙いがある。
計画によると、千代田カントリークラブと旧大福牧場の土地を取得し、隊庁舎やグラウンド、火薬庫、訓練場などを整備する方針。
配備に向けた用地取得費の計上を受け、自衛隊配備促進協議会の野津武彦会長は「用地買収の予算計上は、陸自配備が本格化することでうれしい。今後とも地域住民に説明し、配備に向けての協力を進めていく」と話した。
「宮古島・命の水・自衛隊基地配備」について考える会の岸本邦弘代表は「国は辺野古と同じやり方で進めようとしている。反対の動きを強くして、住民みんなが賛成しているのではないということをアピールしていく」と語った。
下地敏彦市長は「(用地取得費が)具体的に金額や地名が概算要求で出ているとのことだが、それに対して市役所への情報は今のところない」と述べた。
防衛省は16年度予算の概算要求について、米軍再編などの地方負担分を含む総額を過去最大の5兆911億円とすることを決め、15年度から整備を進めている鹿児島県・奄美大島の警備部隊に移動式警戒管制レーダーを配備するために必要な3億円も盛り込んだ。
主な装備品として、垂直離着陸輸送機オスプレイ(12機、計1321億円)、無人偵察機グローバルホーク(3機、計367億円)、水陸両用車AAV7(11両、計74億円)、輸送機による搬送が可能な機動戦闘車(36両、計259億円)の取得予算を要求した。
概算要求は前年度比2・2%増で、要求増は4年連続。