見積書に積算根拠なし/不法投棄ごみ残存問題
予算設定にも疑問浮上/査定なくそのまま認定
市の事業で撤去されたはずの不法投棄ごみが大量に残存している問題で、今度は議会への予算計上に至るまでの過程にも疑問が浮上した。予算額の根拠となった資料は、1業者から見積書のみで、その見積書には金額のみが記載され、具体的な費用などの積算根拠の記載は一切入っていない。さらに、その見積額はそのまま予算額となっている。市財政課では「当時の担当がヒアリングをしっかりやったと思う」としているが、野党市議からは「資料として積算根拠がない中で予算化されること自体がおかしい」との声も聞かれている。
同事業の予算要求前の見積書については、環境衛生課が2社から示されたことを報告していた。その資料は情報開示されていたが、財政課にはそのうち積算根拠が一切記されていない見積書が、撤去箇所の航空写真と一緒に提出されていた。
村吉順栄総務部長は「本来は(積算根拠は)明記した方が良いし、もちろんこれだけでは査定できない。しかし、当時の担当者がヒアリングをしっかりやったと思う」との見解を述べた。
さらに、積算根拠が書面で明記されないままでの予算措置については「具体的な内容については聞き取り調査でも良いし、積算ができれば問題ない。当時のヒアリングの内容については資料があると思う」と話した。
予算要求当時に環境衛生課から示された資料について、市財政課は「1社の見積書と航空写真のみで、保良の2カ所にある1600㌧の不法投棄ごみを撤去することが示されている」と説明した。
しかし、これまでの当局説明では、事業対象のごみの量については「1350㌧」としており、今回の「1600㌧」との量の違いについても疑問が浮上している。
ヒアリングした内容の資料の存在について、財政課では「ヒアリングして要求額が査定額に変更になった場合は見積明細書にメモ書きとして残しているが、今回の場合は査定しておらず要求額をそのまま認めているのでメモはない。しかし、ヒアリングでやり取りした部分についての資料の存在については確認してみたい」と話した。