児童虐待防止で情報共有
関係機関から190人参加/実態理解と連携促進研修会
児童虐待の実態理解と連携促進を焦点にした研修会「メンタルヘルス問題(精神疾患)のある親による子ども養育世帯への支援」と題して9日、県立広島大学保健福祉部人間福祉学科の松宮透髙准教授を講師に迎え、市中央公民館で行われた。この日は児童館や保育所・こどもえんなどの職員ら約190人が受講した。
松宮准教授は、児童虐待の発生要因は、貧困を基底として、子どもの障害や不登校、養育者の精神疾患や障害、家族関係の変動、社会的孤立など諸要因が複合して形成された生活困難があると指摘した。
精神疾患を持つ親の支援は精神保健医療福祉機関、虐待児童の保護は児童福祉機関・施設とそれぞれが支援しているのが現状。児童虐待発生の要因は複合的なもので、それぞれの連携が乏しく、支援する側にストレスや困難感が高い。
原因として児童福祉領域の相談員と精神保健福祉士との、虐待児童に関する認識がそろっていないことを挙げた。
松宮准教授は連携の基盤となる認識の共有をするためにはそれぞれが出会える場と研修の場が必要と強調した。
メンタルヘルス問題を持つ親は対人関係などがうまくいかず、また仕事も集中できないなど、低所得になりやすく、暮らしとメンタルヘルス問題があると、孤立しがちになり、子どもを虐待する条件を満たしてしまう場合が多いと指摘した。
厚生労働省による児童虐待による死亡事例検証報告で、数年間の報告を総合すると心中以外の事例が48・5%、心中事例の50・3%が該当すると紹介。国内外の先行研究からすると、総じて虐待する親の30~70%に精神疾患が見られると示した。
講演に先立ち市福祉部の譜久村基嗣部長は「この研修会が、宮古島市におけるメンタルヘルス問題のある親による子ども養育世帯への支援体制づくり、そして連携強化のきっかけになることを期待している」とあいさつした。