申込6割に達せず/野ネズミ防除
農家 地上防除に懸念広がる
野そ(野ネズミ)の地上防除で、サトウキビ農家の農薬申込数は2938人(57・3%)で、全農家の6割にも達していないことが市農政課のまとめで分かった。野そ防除は、今年からヘリコプターからの散布を取り止め、農家が直接散布することになっている。一斉防除が有効とされる野そ防除だが、高齢化で難色を示す農家もいる。関係者の中には、異常発生の可能性もあるとして地上防除への懸念が広がっている。
市は野そ防除について、ヘリからの散布より、農家が自分の畑に直接散布した方が効果があると強調。安全面や予算面の観点でも人手に頼る作業に協力を求めている。
しかし、地上からの散布は、人の入れない原野や山林などが除かれることから、一部のキビ農家や糖業関係者から「野ネズミの被害が広がる可能性がある」と指摘。「作業量も増え、体力的にも限界がある」として、従来通りヘリからの散布を希望する声が上がっていた。
同事業は、市の負担で実施し農家負担はゼロ。全てのキビ生産農家が対象で、散布を申請すると、収穫ほ場面積に合わせた農薬が配布される。
市は地上からの散布について①住宅地や草地、果樹園、道路などが除外され安全面が確保できる②ヘリの使用代金(約1760万円)がなくなり予算が縮減できる③キビ畑に直接散布することから散布のばらつきがなくなる-などを挙げている。
市農政課は申込数に応じて、今月中には農薬の配布を行い、10月中には散布を呼び掛ける。
申込数が6割に達していないことについては「自分の畑には、以前から被害は出ていないという農家もいる」と話した。農薬は申込数より多く購入する予定で「状況を見ながら進めていきたい」と語った。
ヘリからの散布取り止めについては、11日の市議会9月定例会一般質問で下地明氏が質問。「以前は、野ネズミが異常発生したので(対策として)ネズミのしっぽを買い取りしていた時代もあった。そういう状況だったからこそヘリ防除になった。その事を忘れてはいけない」と述べ、ヘリを使っての防除を強く求めた。
長濱政治副市長は「当面は地上防除で実施し、被害発生の推移を確認しながら、方法については検討していく」と答弁。「この事業は100%市が負担する。このような事業はなかなかない。今後の野そ防除では、財政面も考慮しながら農家負担も検討する必要がある」と述べた。