華やかに「八月踊り」開幕/多良間村
優雅な舞で観客魅了/国指定重要無形文化財
初日仲筋、きょう塩川
【多良間】国の重要無形民俗文化財の伝統行事「八月踊り」が旧暦8月8日に当たる20日、3日間の日程で始まった。仲筋地区の土原御願所の正日(ショウニチ)では、出演者らが華やかな衣裳を着飾って演じた。躍動的な踊りと優雅な舞で、大勢の観客らを魅了した。きょう21日は、塩川地区のピトゥマタ御願所で「正日」が行われる。
八月踊りは、首里王府への租税完納を祝うとともに、五穀豊穣に感謝し、向こう1年間豊作を予祝する奉納祭り。組踊の演舞、せりふ、裏方の歌・三線などで繰り広げる総合芸術。また滑稽な演技が笑いを誘い、観客らはリラックスした雰囲気で楽しんだ。
仲筋地区では総勢約160人が出演。「総引き」の前座では獅子舞が登場し、豪快な動作で舞台をはらい清めた。次いで若衆踊り、女踊り、勇壮な二才踊り、狂言が続いて盛り上げた。
クライマックスは組踊「忠臣仲宗根豊見親組」。16世紀の中山王朝が宮古島の首長仲宗根豊見親に与那国島の首長鬼虎を征伐させ凱旋するまでの史実を劇化した。仲宗根豊見親とともに参戦し絶世の美女とされる姉妹「オーガマ」「クイガマ」の優雅な立ち振る舞いなどが観客を引きつけた。組踊の上演時間は2時間余りに及んだ。
観客らの視線は各演目にくぎ付け。カメラを向けて撮影し、各演目が終わるたびに大きな拍手を送っていた。会場から「素晴らしい」と感嘆の声が上がっていた。
伊良皆村光夫長は「八月踊りは、村民が誇る伝統芸術。これからも県内外に魅力を発信し、観光誘客につなげたい。今後とも後継者の育成を推進したい」と決意をにじませた。