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社会・全般
チリの鉱山落盤事故(行雲流水)
2010年10月13日(日本時間14日)は、世界中の人にとって忘れることのできない歴史的な日になった。この日、チリの鉱山落盤事故で、地下700㍍に閉じ込められた作業員33人の「奇跡の救出」は成功、全員が地上に無事生還した。8月5日の事故発生から69日ぶりであった
▼落盤があって閉じ込められたとき、現場は一時混乱した。しかしリーダー格のルイス・ウルスアの呼びかけで冷静な生還をかけた挑戦が始まった。最初に手分けして周囲を調査、「閉じ込められたという事実」を冷静に認識した
▼事故が起きた後、避難所にあった食糧は3日分であった。いつ救出されるかも分からない状況下で、作業員たちは、2日置きに「スプーン2杯のツナ、ミルク一口、ビスケット1枚」で飢えをしのいでいた。地上から掘られた探査用の細い穴が通じたのは事故から17日目で、その時食糧は底をつき、絶食は72時間に達していた
▼探査の穴はまさに間一発の局面で到着した。その間、少ない食糧を奪い合うこともなく共に飢餓の苦しみと死の恐怖に耐えた作業員たちの姿勢は見事であった
▼地底からカプセルを通じて地上に搬出する救出作戦は成功したが、リーダーのルイス・ウルスアは「こんなことが、二度と起きないようにしてほしい」と訴えた。事故の原因が安全対策の不備にあることが明らかになってきた
▼人間の素晴らしさ、それが相互に生かされていること、それを支える社会の体制の重要さを示す「奇跡の救出劇」であった。