建物の長寿命化を/公庫経済懇談会
ストック型社会提唱/6次産業化の推進も
沖縄振興開発金融公庫(譜久山當則理事長)と宮古経済界の代表らが意見交換する「2015沖縄公庫・宮古経済ワイドー懇談会」が29日、市内ホテルで開かれた。出席者からは▽省資源なストック型社会の確立を図る建築物の長寿命化▽農業の経営多角化へ向けての6次産業化の推進-など、さまざまな立場からの意見や提言があった。その上で、沖縄の地域的な政策課題に応えるためにも公庫の果たすべき役割は重要だということで一致した。
宮古地域における産業や経済動向および公庫に対するニーズを把握することが目的。また、地域の人たちと相互理解を深め、宮古地域の一層の経済発展に寄与することを狙いとしている。
懇談会で一級建築士の伊志嶺敏子さんは、建築物の長寿命化を提唱。公庫の融資審査にも取り入れて差別化を図ることや、長持ちするためのメンテナンスも融資のメニューに取り入れてほしいと要望した。
「西洋の古代遺跡が現代のインフラにも生かされている」と話し、最初から良い物を造ってきちんと整備、補修し長く使用する「ストック型社会」への転換を呼び掛けた。
県宮古事務所の久貝富一所長は「観光産業を基軸産業として育てなければならない」と強調し、そのためには▽官民一体となった受け皿作り▽6次産業化の一つである農商工連携の推進-を挙げた。
「人口減少に歯止めを掛け、V字回復をしていくためには地場産業を育て、地元に産業をつくり雇用を創出するための具体的な取り組みが求められている」と述べ、公庫に専門的な立場からのアドバイスを求めた。
宮古島市の長濱政治副市長は「天然ガスの事業化で雇用が増え、U・Iターン者がたくさん来ていただけるという仕掛けを作っていきたい」と市の政策の実現に向けた公庫の支援に期待。サンエーの大型店舗建設や、観光関連企業のホテル建設計画などを示し「島の活性化や発展のために公庫の果たす役割は大きいものがある」と語った。
沖縄公庫の譜久山理事長は、「本土から遠く離れた離島における産業で、観光は有利な面がある」と指摘。「先島から本土市場に売りに行くのはとても大変なこと。その点、観光は消費者がわざわざ来てくれる」と、観光産業の利点を訴えた。さらには「インターネット通販で、島で食べた商品を送ってもらうこともできる」と強調した。
その上で「一番大事なことはどういう商品開発をして、本土やアジアの人たちの志向に合う商品開発を組み立てていくか。そういう意味では楽しみな時代に入っている」と述べ、創意工夫やアイデアを形にした観光産業の振興を呼び掛けた。
懇談会への出席者は次の通り。
【経済界、行政代表】池田秀光(池田冷凍食品専務)▽伊志嶺敏子(伊志嶺敏子一級建築事務所代表)▽大浦貞治(宮古島市伊良部商工会長)▽久貝富一(県宮古事務所長)▽坂口順子(いずみ代表)▽佐平八十男(佐平建設社長)▽砂川恵助(宮古島商工会議所専務理事)▽富山忠彦(宮古ガス社長)▽長濱政治(宮古島市副市長)▽平安秀昭(ピースアイランド宮古島専務)
【沖縄公庫】譜久山當則(理事長)▽具志堅忠昭(理事)▽玉那覇通男(宮古支店長)▽屋比久盛徳(企画調査部業務企画課長)