来年は72回、7万6000人/クルーズ船
宮古寄港、過去最多へ/通訳やバスの不足課題に
2016年に外国などからのクルーズ船が宮古島市に寄港する回数は72回、乗船客数は約7万6400人の過去最多に上る見通しであることが10日分かった。これまで最多だった05年の23回(乗客数1万3366人)の約3倍、15年の13回(同9372人)の約5倍に増える試算だ。経済波及効果が期待される一方で、通訳の確保やバス、タクシーの安定供給などの受け入れ対策が喫緊の課題となっている。
同日、平良港ターミナルビルで行われた、第5回クルーズ客船誘致連絡協議会幹事会(幹事長・下地信男市観光商工局長)で、宮古島市が報告した。
それによると、来年4月~10月に掛け、ほぼ毎週のように約1万㌧~11万㌧級のクルーズ船が平良港の下崎と漲水の両埠頭(ふとう)に寄港する予定だ。
乗客は主に台湾や中国からの観光客で、沖縄本島や石垣を経由して宮古に寄港する計画という。
寄港する予定のクルーズ船で最大級は「ゴールデンプリンセス」で約11万㌧。同船は大型のため、下崎埠頭に着岸できないことから、平良港沖に停泊し、そこからテンダーボート(大型船に搭載された補助船)で乗客をピストン輸送する予定。
幹事会では、来年は今年を大幅に上回るクルーズ船寄港に、経済効果を期待する一方、受け入れ態勢を懸念する声も上がった。
バス会社からは、バスの1日最大供給は約20台で、乗客は約1000人だとし「クルーズ船の寄港が一過性ではなく継続とあれば、増車ということも検討するが、今すぐというわけにはいかない」と慎重な考えを示した。
通訳も絶対的に不足しており、出席した通訳者や市の担当者からは「まずは店員やタクシー乗務員らが、すすんで外国語の勉強をし、おもてなしの心に磨きを掛けることが必要」との指摘もあった。
通貨の両替については「通貨が多種多様で、事前に分かれば対応できる」(銀行)、「靴底の消毒で対応しているがさらなる防疫体制強化が必要」(家畜衛生保健所)などの声も上がった。
副幹事長の下地康教建設部長は「クルーズ船で地方の街を訪れ、直接観光地に繰り出すなど外国人の旅行形態がこれまでとは違ってきており、地方の受け入れ態勢やアイデアが試されている」と指摘。今後、クルーズ船の果たす影響は大きくなるとして、大型船が着岸できる平良港の整備拡充を国に引き続き要請していくことが重要との考えを示した。