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社会・全般
植工と文選箱(行雲流水)
植工さんは鉛製の長さ2・5㌢ほどの活字がぎっしり詰まった活字棚から原稿(記事)に従って素早く活字を抜き取ると次々と文選箱に並べていった
▼読者が新聞紙面で見る1段1行の文字数は文選箱に並べた縦1列の活字の数だった。宮沢賢治「銀河鉄道の夜」の主人公は文選工となってピンセットで活字を拾っているがかつて目にした宮古の植工さんたちは皆素手で拾っていた
▼普通の文字とは逆の「鏡文字」活字を素早く拾い手際よく文選箱に並べる職人技には子供ながらいつも圧倒された。文選箱の1行の活字は原稿に沿って次々と行数を増やし一区切りの文章に仕上がると文選箱のまま「組版」の工程に回されて新聞体裁に編集された
▼そして校正。校正で見つかった誤植活字は抜き出されて正しい活字と差しかえられいよいよ印刷工程に入っていく。以上の流れ作業を見やりながら新聞配達の少年たちは工場の片すみで刷り上がった新聞がやって来るのを待ち続けた-以上は昔日の新聞社の光景である
▼今や活字棚はなく植工もいない。「印字」も「編集」もすべてコンピューターで処理している。しかしいかに近代機器が導入され編集技術が進んでも変わらないものがある。「配達」である
▼今月17日は配達に従事している少年少女を激励し社会一般に理解を深めてもらう記念日「新聞少年の日」だった。