行雲流水
2015年11月17日(火)9:01
【行雲流水】「テロの衝撃」
20世紀は戦争の世紀であった。その反省を踏まえて21世紀は体制や思想信条、信ずる神の違いを超えて、すべての人が平和のうちに、共存できる世界を、世界中の人は願った。たとえば、近畿宗教連盟は「共に生かされ、共に生きる『共生』の理想を掲げ、まい進することを宣言している
▼しかし、相いれない「正義」たちの間で紛争が絶えることはない。憎しみは憎しみを生み、報復は報復を生み、その連鎖が続いている。9・11以後の状況に対して、世界宗教者平和会議はテロとアメリカの武力攻撃を批判する声明を発表している
▼11月13日(金)、パリで同時テロが発生、世界中に衝撃が走った。パリ中心部の劇場や郊外の競技場など6カ所でほぼ同時に、乱射や爆発が相次ぎ多数の死傷者を出した
▼平穏な生活を営んでいる善良な一般市民を殺りくすることは決して許されない蛮行である。フランスは『イスラム国』の犯行と断定、同組織は、空爆への報復だと犯行を認めた。残念ながら報復の連鎖がエスカレートすることは必至である
▼今日、世界は「経済」で動いている。東も西も、軍事力を背景に、大国は経済覇権主義に陥っている。弱肉強食の風潮は世界の隅々まで覆いつくしている。この精神性を欠いた地球のゆがみが諸悪の横行する根源にはある
▼宮沢賢治の言葉がなつかしい。「本当の幸せを求めていこう」、「みんながめいめい自分の神様が本当の神様だというだろう。けれどもお互いほかの神様を信ずる人たちのしたことでも涙が出るだろう」。