指定港化で防疫強化/県、宮古島市
国への要請行動展開へ/家畜の伝染病感染防止で
県宮古家畜保健衛生所と宮古島市は9日午後、家畜防疫体制について意見を交わし、動物検疫上の指定港化を国に要請する方針を確認した。指定港化で家畜防疫官が機内や船内で手荷物検査を行い、汚染物品の有無を調べることが可能になる。海外からのチャーター機やクルーズ船の増加で懸念が広がるウイルスの侵入を水際でたたく。下地敏彦市長は「迅速にやるべきことだ」と述べ、県と歩調を合わせて積極的に要請していく姿勢を示した。
宮古家畜保健衛生所の仲村敏所長が市役所平良庁舎に来庁し、水際対策の重要性を訴えながら下地市長らと意見を交わした。
動物検疫上の指定港化は海外からのチャーター機やクルーズ船の就航に伴って検討材料に上がった。人や物の移動が活発になることを踏まえ、機内や船内に入る権限を有する家畜防疫官を配置し、ウイルスの侵入を防ぐことが狙いだ。
主な要請内容は①港、空港の動物検疫早期指定②指定前における水際検疫の強化③農場侵入防止立ち入り検査の確実な実施-。
指定前の水際検疫は▽家畜防疫官の常時立ち会い▽船内アナウンス等の実施▽消毒と検査の徹底-を求める。農場への侵入を防止するために年1回の全戸立ち入り検査も要請する。
石垣市の空港と港は指定されており、宮古島市は石垣の事例を参考に要請行動を展開する方針だ。
仲村所長と下地市長は意見交換を通して課題や要請行動の流れを整理。今後も情報を交換しながら要請内容を詰めていく。
県側の説明に理解を示した下地市長は「防疫のことは気になっていた。仮に1頭でも出たら大変だ。こういうことを考えると迅速にやるべきだ」と話した。
意見交換には、このほど行われた県家畜保健衛生業績発表会で優秀賞を受賞した宮古家畜保健衛生所の銘苅裕二さんも出席し、下地市長に入賞を報告した。
家畜の伝染性疾病は、ウイルス等によって家畜から家畜に感染する。感染した家畜は殺処分されるため畜産物の安定供給を脅かす。2010年に宮崎県で発生した口蹄疫では牛・豚約30万頭が殺処分され、関連産業を含めて2350億円もの経済損失が出た。