行雲流水
2015年12月29日(火)9:01
【行雲流水】「安」
2015年の世相を一字で表す「今年の漢字」が「安」に決まり、15日、京都の清水寺で発表された。なるほど。しかし、この「安」は安心の「安」ではなく、不安の「安」をイメージさせる
▼この一年、イスラム国(IS)関連テロが各地で続発した。また、内戦の続くシリア等から欧州へ難民流入が増大、関連して排外主義が台頭、世界は混迷を深めている。わが国は、戦争のできる国になり、アメリカの戦争に巻き込まれることが危惧される。辺野古新基地は強行され、伊良部大橋の開通で魅力を増した宮古島だが、ミサイル設置で要塞化して魅力を失うことも危惧される
▼アメリカ主導の新自由主義的弱肉強食のグローバル化が進んでいる。その結果、格差が拡大した。そして、各国政府は軍事力を背景に経済覇権を求め、国内では税制等で強者に有利な施策がとられている
▼環太平洋連携協定(TPP)の発効で農・畜産業がダメージを受け、地方衰退が懸念される。勤労者の可処分所得も年々減少、生活の不安は増すばかりである
▼沖縄の米軍基地はアメリカの軍需産業や世界戦略のための基地である。辺野古新基地の強行は、沖縄の健全な発展を阻害する。日本の対米従属を絶つ上でも、世界平和のためにも容認できない。宮古島に建設するというミサイル基地も辺野古と同一線上にある
▼状況は厳しいが、明けない夜はない。年末に演奏される「第9交響曲」は歌う。「おお友よ、このような調べではなく、もっと心地よい喜びに満ちた歌を歌おうではないか」。