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【特集】新年号
2016年1月1日(金)9:14

地域の特色生かし進行へ/新春インタビュー

潤いあるコンパクトシティーに/宮古島市 下地敏彦市長
「知的な宮古島」の創出へ


 

下地敏彦市長

下地敏彦市長

 -今年の抱負と市民へのメッセージを

 今年は、目指した事業が目に見える形で出てくるし、活用した形になる。活力のある、みんなが元気な宮古島にしたいと考えている。子供を安心して預けられる制度、母親が安心して出産できる島にしたい。
 これまではきちんとした文化施設がなかったので、文化のための施設整備を進め「知的な宮古島」というイメージをつくりたいと思う。
 市民も訪れた観光客も「いい島」と言われるような「潤いあるコンパクトシティー」宮古島にしたい。

 -市町村合併10年を節目となった昨年を振り返って

 10年という本当に節目の年だった。
 10周年関連でいろいろな事業を実施したが、宮古島がこの10年間で大いに発展してきたことを、PRできた一年だった。県の畜産共進会が開催されたこと。サンエーが大型店舗出店の計画も発表したことなどを考えると、総じて観光、農業、子供の安心安全と商業の発展なども含め、非常に好調だったと思う。これらをしっかりと引き継いだ形で施策を展開すれば、より活気のある宮古島になると思っている。
 一番はやはり伊良部大橋が開通したこと。長年の、特に伊良部の人たちの「夢」だった大橋が、合併10年の節目で宮古島が一つになることが実感できたと思う。
 スポーツ観光交流拠点施設が着工する形になった。これでますます、観光客や島でのイベントなどがより盛んになると思う。

 -昨年の課題で今年重点的に取り組みたいことは

 図書館と公民館を合体した「未来創造センター」、文化施設をきちんと整備したい。子供のための施設、平良の児童館をしっかり整備していきたい。池間島の防災センターも供用開始に向けて、準備を進めていく。
 新しいごみ処理施設が完成する。これまでは、いつ止まってもおかしくないといわれていた施設が安心して使用できる。

 -今年度以降、地方交付税が減額され、収入減が見込まれる。行政改革にどう取り組むか

 別に特効薬があるわけではない。税収を確実にするなど、歳入を増やすことなどに地道に取り組む。入域観光客が増えている。今年はさらに増えると考えられる。消費税が上がるので、慎重にしなければならないが、これまで検討してきた「法定外目的税」を導入せざるを得ないと思う。

 島の美化など観光に特化した「観光目的税」を積極的に検討したい。
 あとは市の単独事業の見直しと、公共施設の早めの整理統合。公共施設の管理基本計画を仕上げて、それに沿って進めていきたい。

 -農水産業の柱とTPP(環太平洋パートナーシップ)対策は

 影響を受けるとすれば肉用牛とサトウキビだと思う。サトウキビについては調整金を、形を変えて残すといっているので、あまり大きな影響は出ないと見ている。
 肉用牛については相当な手当をしないといけないと思う。政府から大綱が出たばかりなので、これから具体的な施策が出てくると思う。それに沿った形で畜産農家が安心できる施策を展開しなければならない。
 サトウキビは農家の高齢化が進み、刈り取り作業が大変になっているので、トラクターなど刈り取り機、株出し管理機などを多く取り入れることで生産性が上がるとみている。合わせて伊良部に国営かんがいが入れば生産は大幅に増えると思うので期待している。

 -入域観光客数も好調に推移している。防犯も含め、受け皿整備をどのように進めるか

 クルーズ船の寄港だけでも今年は1万人ほどになると予想している。ほとんどが中国系の観光客。商店街の人たちも中国語、あるいは英語をある程度話せるようになることがまず必要。雇用創造促進協議会を通して講習会などの機会を設けてほしいと依頼しいる。
 大型のホテルも着工が始まる。ホテルでの接客のための語学を含めた訓練が必要。そのためには、学校とまではいかなくても、今民間でやっている専門学校と提携するなどして、人材育成をやらなければならない。
 クルーズ船でいえば、ターミナルもないので水も飲めない。乗下船時に休める施設も必要になってくる。
 合わせて防犯灯、カメラをなるべく早く設置する方向で、島の安心安全のために、絶対に防犯は進めなければならない。今年の3月までには何とかしたいと思っている。

 -中心市街地の活性化については

 今言われている「中心市街地」をもっと広げたいと思う。行政組織や公共施設も現在は過密状態なので、島の「重心」を少し移す必要があると考えている。それによって新たな開発行為も生まれる。公共工事だけではなく、民間の事業が活性化する。それが島全体の経済の活性化につながる。
 特に、若者が住宅が造れるような広がりのある所を造りたい。それと交通の利便性の確保をすれば島全体の均衡ある発展につながると考えている。それとバリアフリー化を進める。
 旧平良市を中心として拡大することにはなると思うが、それだけではだめ。全ての旧町村からほぼ等距離になるし、現空港周辺が島の中心になると思う。そこを中心とした活性化を図りたい。
 総合庁舎の場所をどこにするかと同時に、交通のアクセスの問題、公共施設の配備など、総合計画を見直し、分散型庁舎前提ではなく、総合庁舎を前提としたグランドデザインを作り上げる必要がある。


過疎化対策に全力/多良間村 伊良皆光夫村長
村民結集の村づくりへ


 

伊良皆光夫村長

伊良皆光夫村長

 -村長就任2年目の2015年を振り返って

 新製糖工場建設に向けての予算確保ができ、事業がスタートした。浮き桟橋の供用開始により、漁民やマリンレジャー船舶利用者の快適性、安全性、利便性が確保された。
 村民が待ち望んでいたコミュニティー施設の落成により、生涯学習の場や健康づくり、憩いの場としての活用がなされている。将来に明るい展望が拓けた年だったと思っている。

 -村が抱える課題とその解消に向けた取り組みは

 島外で生活している若者の話を聞くと、「島に戻りたい気持ちはあるが、同年代の若者が島にいないから戻る気持ちになれない」ということも大きな理由になっている。
 若者が島に戻れるような環境は何か?島外にいる若者たちとの意見交換の場を設け、若者が戻れるような環境整備を図っていきたい。
 U、Iターンしたくても住まいがないことも理由の一つで、その改善のため定住促進住宅を建設中であり、今後とも計画的に永住促進住宅の建設を進めていく。
 高齢化が進む中、福祉施設の充実が求められているが、医師や看護士の確保、施設の維持、介護保険料のアップなど課題がある。離島における施設の状況や運営方法などを調査中であり、多良間村の介護福祉施設のあり方について方向性を判断したい。

 -農業、畜産の振興について

 環太平洋連携協定(TPP)交渉大筋合意により、サトウキビ作、畜産などの農業全般にわたる影響が懸念されている。キビ作については、糖価調整制度は維持されることになり、国の交付金制度は確保されることになった。
 畜産については、現行の38・5%の関税が段階的に引き下げられ、2016年目以降の最終税率は9%になる見通しで、安い輸入牛肉が市場に出回ることが予想される。子牛生産地としては心配だ。 キビ作は離島農業においてはなくてはならない基幹作物であり、高齢化に対応した機械化を推進するとともに、病害虫防除、肥培管理を徹底し反収アップを図っていきたい。
 農業用水の確保が大きな課題となっている。国の調査事業が続いているので、今後の調査状況を見守りたい。

 -教育の振興について

 「15の春」で島を出て、両親と離れ離れの生活は大きな環境の変化となり、子供たちに精神的な負担となっている。
 このようなハンディを少しでもカバーしていく意味で、文化、スポーツなどできる限り、子供たちに多くの体験ができるよう島外への派遣を行っている。
 小6、中2のキャリア教育の一環として、沖縄本島でのジョブシャドウウイング、職場体験学習を実施している。子供たちの視野を広め、今後の成長に寄与できると思う。
 姉妹市村交流、外国におけるホームステイ体験など、体験学習はできる限り増やしながら、今後も続けていきたい。

 -観光振興に向けた取り組みは

 「おくなわ協議会」としての取り組みやイベントの開催、PRの強化による知名度アップなどにより、少しずつではあるが観光客は増えつつある。
 また、ダイビング業者も多良間の海の素晴らしさ、魅力を世界に発信しており、多良間のPRに大きく貢献している。
 多良間観光の大きな課題は①地元産食の提供②宿泊施設の不足③観光ガイドなど人材不足-となっている。
 この三つの課題改善のため、行政として積極的に携わっていきたい。また、旅行社との交流を密にしながら、あらゆる機会を通して多良間の魅力を発信し売り込みを図っていきたい。

 -2016年を迎えて村民へのメッセージは

 「志あれば必ず道は拓ける」。どんな向かい風にあっても、夢に向かって挑戦し続けることで、新しい力が生まれてくるものと信じている。
 村づくりは村長、議員、役場職員だけでできるものではない。村民すべての力が必要。この思いを村民と共有し、力を合わせて誰もが多良間村で生まれ育ったことの誇りと未来への希望が持ち続けられる村づくりのため、まい進していきたい。

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