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私見公論
2016年1月15日(金)9:01

【私見公論】離島漁村の活性化、創生に期待する/中村雅弘

 2015年12月12日、本紙「私見公論」で仲里雅彦氏は、冒頭で「このままだと佐良浜は30年後には無くなるよ」。「なぜ? 人がいなくなるからさ」と話す地元リーダーの声を紹介する衝撃的な文章で伊良部島の創生について論じてくれました。佐良浜に住む者として、仲里氏の伊良部島に対する論には感謝するものです。



 佐良浜に住む私にとっても、それは現実的問題であることは感じている。30年後とは極端ではあるが、よく話題になる論である。


 そのため佐良浜振興会でさまざまな論議を行い、佐良浜の振興について模索議論しているところである。


 佐良浜は漁業のまちとしての伝統があり、海との関わりを基本とし、水産物の供給地として活性化を図る必要を考えています。そのため私は、過去の本紙「私見公論」においても、佐良浜の漁村漁業のまちとしての創生を述べてきた。平成26年1月、伊良部大橋が開通しました。大橋が開通し、まちが衰退していったと考えるのではなく、大橋の開通で「離島漁村」としての「優位性」を積極的な価値創造を図り、優位性の拡大転化を図る必要がある。


 カツオ、マグロ、グルクン、その他水産物の生産のまちとして海を基本としての活性化再生と漁村としてのまちづくりを図る。


 それでは、合併後の佐良浜の現状はどうか。人口は合併年の平成17年12月、3544人、平成26年12月、2860人、合併9年間で684人、約20%の減。佐良浜小学校の生徒数は177人が110人、67人、約38%の減である。高齢者人口は1170人、約33%の高齢者地域である。合併9年間できびしい状況となっている。そのような現状で地方創生が最近さけばれているが、佐良浜ではどういう取り組みが行われているか。


 近年、漁村の振興に「海業」で経済活性化を図ることが提案されている。「海業」とは、「国民の海への多様なニーズに応えて水産資源のみならず、海、景観、伝統、文化等の多様な地域資源を活用して展開される漁業者を中心とした地域の人々の生産―サービスに至るまでの一連の経済活動」としている。漁業のみならず漁村地域の種々の活動の中で、地域の自然、景観、海洋レクリエーション、漁村の文化、伝統等、国民ニーズに地域が応えて活用していくことで、海業を推進し漁村地域の再生を図る。漁村の存立のためには、漁業者がそこに住み、豊かな暮らしを送るための社会基盤の整備もまた必要である。それがなければ、人々はいずれその地から離れていかなければならない。そして離れることができない人のみが残る。地域の振興には、公の諸支援施策が必要である。佐良浜地区においては、伊良部地区地域水産業再生委員会が「浜の活性化プラン」を作成し、それに基づく事業導入を行い、平成31年までに漁業所得を今より15%向上させ地域の再生を図る計画である。


 そのプランでは、①島外出荷量の増加 ②低利用、未利用漁種の活用 ③漁業と観光の融合 ④養殖業との複合経営の推進を計画の基本として漁業所得の向上を図るプランである。そして、関係機関との連携を図りながら関連事業施策の導入を行う。漁業所得の向上で活性化創生を図る、それとともにそこに漁業者が暮らしやすい社会基盤の整備が必要とされる。社会基盤整備については公共、自治体の公的サービス提供が求められるのが必然である。


 大橋の開通で離島が衰退していくことではなく、離島の優位性を大橋開通で拡大転化させなければならない。漁業者は暮らしやすさのための漁業所得向上を図る。公は社会基盤の整備を図る。先の仲里氏の提案もその例であると思う。私は佐良浜を頭において述べているが、同じ離島漁村の池間島も同様なきびしい状況であると考える。国は「まち、ひと、しごと創生総合戦略」で地方創生を図ることにしている。それを受け宮古島市は「宮古島市まち、ひと、しごと創生総合戦略」を今年3月までに策定する。宮古島市街地以外の地域に実効性のある創生戦略が策定されることに期待したい。それが離島漁村の活性化、創生に結びついていくと考える。

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