休日の市内に緊張走る/ミサイル通過「落ちてきたら…」
「落ちてきたら…」。北朝鮮が発射した事実上の弾道ミサイルが7日午前、先島上空を通過した。発射情報で休日の市内には緊張が走り、市民はミサイルの行方に不安を募らせた。宮古島市対策本部の下地敏彦本部長(市長)は「被害がなくて本当に良かった」と胸をなで下ろした。
総務省消防庁からの情報を伝達する全国瞬時警報システム(Jアラート)の最初の報は午前9時34分。ミサイルを発射したとする情報が伝えられた。
その後、同9時42分には沖縄の先島上空を通過したとする情報が届いた。
情報を受けた市民は不安を募らせたが、同9時44分ごろにあった安全情報で安堵(あんど)した。
民宿を経営している渡真利敦さん(38)は、畑で農作業中にミサイル発射を知らせる防災放送を聞いたという。「落ちてきたらどうしよう。ミサイルに核が積んであったらと考えると不安になった」と話した。
宮古島にはミサイルの発射予告期間に入る約4時間前になってようやく地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を積んだ自衛隊の輸送艦が到着し、ぎりぎりで配備が完了している。
渡真利さんは「とにかく間に合って良かった。間に合っていなければ『なんなんだ』ということになっていた」と振り返った。
一方、多良間村の販売員の男性(40)は「多良間にも自衛隊が入って不安でたまらなかった。何のためにミサイルを発射する必要性があるのか分からない。やめてほしい。平和が一番の祈りだ」と話した。
下地市長は北朝鮮の行為について「国際社会があれほどやめてくれと言い続けたのに聞く耳を持たない姿勢はどうか」と不快感を示した。その上で「宮古に影響がなかったという点は安心している」と話した。
また、PAC3の基地外配備に関しては「基地が工事中だということであればやむを得ない」と述べた。
多良間村の伊良皆光夫村長は「世界中を巻き込む迷惑な行為だ」と北朝鮮を批判した。「被害がなかったことにはほっとしたが、これで終わりではない」と話して警戒心を強めた。