パーントゥ、無形文化遺産候補に/国の文化審議会
島尻、野原の伝統祭祀/「来訪神」でユネスコ登録へ
國の文化審議会(宮田亮平会長)は17日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産の登録候補として、「宮古島のパーントゥ」(宮古島市)など7行事を選んだと発表した。既に登録済みの「甑島(こしきじま)のトシドン」(鹿児島)に追加する形で、神の使いが家々を訪ねる「来訪神 仮面・仮装の神々」として8件の一括登録を提案する。
近く関係省庁連絡会議で政府として正式決定し、3月末までに提案書を提出。2017年の政府間委員会で登録を目指す。
「宮古島のパーントゥ」は、島尻の「パーントゥ・サトゥプナハ(里願い)」と野原の「サティパロウ(里祓い)」を合わせた総称。古くから伝承される祭祀(さいし)で、1993年に国の重要無形民俗文化財に指定された。
島尻の仮面を着けた来訪神は3体で、全身にツル草をまとって泥を塗り、つえを持って集落内に現れ、住民らに泥を塗りたくって厄よけする。
一方、野原のサティパロウでは、パーントゥの仮面を着けた男の子が先頭を歩く。後ろからは女性たちが頭や腰に植物を巻き、小枝を手に持って続く。小太鼓やホラ貝の音に合わせ「ホーイ、ホーイ」と唱えながら集落を練り歩く。交差点では円を作り「ウルウルウル」と唱えて厄を払う。
選ばれたのはこのほか、「米川の水かぶり」(宮城)、「能登のアマメハギ」(石川)、「男鹿のナマハゲ」(秋田)など。いずれも国の重要無形民俗文化財に指定され、大みそかや正月などに神の使いに仮装して家々を訪ね、厄払いや無病息災を願う共通点がある。
ナマハゲは年に単独で登録を目指したが、09年登録のトシドンとの類似性を理由に退けられた。一方、登録済みの「石州半紙」を拡張する形で3件が「和紙」として年に一括登録された経緯があり、文化庁は同種の行事としてグループ化し、改めて申請することを検討していた。
今年は同様に18府県32行事を一括申請した「山・鉾(ほこ)・屋台行事」が審査される。
一括提案する8行事は次の通り。
吉浜のスネカ(岩手県大船渡市)▽米川の水かぶり(宮城県登米市)▽男鹿のナマハゲ(秋田県男鹿市)▽遊佐の小正月行事(山形県遊佐町)▽能登のアマメハギ(石川県輪島市・能登町)▽見島のカセドリ(佐賀市)▽甑島のトシドン(鹿児島県薩摩川内市)▽宮古島のパーントゥ(宮古島市)