足元見る大切さ訴え/自然と文化考える会
シンポで先達の業績探る
「宮古の先達・5人の学識者たちの業績・知的遺産とその継承」に関するシンポジウム(主催・宮古の自然と文化を考える会)が20日、市働く女性の家(ゆいみなぁ)で開かれた。5人のパネリストが、5人の先達の生い立ちや功績などを通して、ふるさとを愛することや足元を見る大切さなどを訴え。宮古が生んだ偉大な人物の業績や知的遺産を正しく継承し、発展させることを参加者とともに確認した。
シンポジウムでは、歴史的にその分野で高い評価を受けている▽慶世村恒任(郷土史家)▽稲村賢敷(歴史家)▽金井喜久子(作曲家)▽砂川正亮(医学博士)▽工藤(旧姓豊見山)恵栄(理学博士)-の5人に焦点を当てた。
「宮古史伝」などを書いた慶世村恒任について、仲宗根將二氏(前市史編さん委員長)は「研究機関もなく、交通、通信も不便な何もない時代に、これだけのものを書き上げたのは驚くべき努力。今後は彼が課題として残したことを解明していくことが大切」だと述べた。
仲宗根氏は「70年前のわれわれの先輩は、戦後の焼け野原から宮古を出発させるに当たり、先人の歴史と文化に学ぼうと努力した。そのことに思いを起こせば、今は何でもあふれている時代。私たちは何でもできるはず」と述べ、知見を深め、課題を解決していくことが重要だと呼び掛けた。
金井喜久子は、女性作曲家としては日本初の交響曲を書いたとされる。
その教え子の一人、新城悦子さんは、金井に歌詞の意味を分からずに歌ったことを注意され「何のために宮古に生まれたのか」「宮古のためにどういうことをやるのか」と問われたことを紹介。「自分の足元を見ることの大切さを実感した」と語った。
「金井が書いた宮古に関する曲はたくさんあるが、まだ誰も知らない。それを知らせていくのが課題」と述べた。
伊波美智子氏(琉球大学名誉教授)は、宮古史を広く日本史、アジア史の中に位置付けた稲村賢敷について▽伊志嶺亮氏(前宮古島市長)は、宮古出身の医学博士第1号となった砂川正亮について▽沢岻英正氏(琉球大学名誉教授)は、宇宙開発に利用される分光技術開発の先駆者として知られる工藤恵栄について-その業績や人柄などを紹介した。
あいさつと基調報告を行った宮古の自然と文化を考える会長で琉球大学名誉教授の垣花豊順氏は、5人の共通点として▽感受性が豊か▽努力家▽自分で感じたことを一生懸命に実行した-ことなどを挙げ「実行する内容は自分のためだけでなく、世界のために行った」と述べた。