再撤去作業打ち切り示唆/不法投棄ごみ残存問題
保良崖下 市長が現場視察し判断
不法投棄ごみ残存問題で、現場に残ったごみの再撤去作業が中断していることを受け、下地敏彦市長は19日、保良の東平安名崎近くの崖下の現場を視察した。視察後、下地市長は「崖の斜面には崩落の跡がはっきり見て取れる。まだ下の方に一部ごみは残っているがこれ以上の作業は無理。撤去は困難と判断した」と述べ、同所と保良のロラン局隣の崖下については、事実上の再撤去作業の打ち切りを示唆し、今後の対応は協議して決定するとしている。
不法投棄ごみ残存問題については、宮古島市と2014年度に市発注の撤去事業を受注した業者との間で残ったごみの再撤去についての協議書が交わされ、4月14日から保良の崖下二カ所で作業がスタートした。
しかし、両方の現場とも作業中に落石や地滑りなどで、安全が確保できない状況となり、労働基準監督署からも現状での作業は認められないとの指摘が出て、作業は中断していた。
19日の視察で下地市長はゴンドラに乗って崖下まで降りて、実際に現場の危険な状況を確認した。
下地市長は「ゴンドラで下を見てきた。落石した大きな石も下の方に転がっていた。あの石が作業中に落石したら逃げようがない。これ以上の作業は無理だと判断した」と説明した。
新たな予算を計上し、安全対策を構築した上での作業を行うかについては「理屈としてはそうなるのかもしれないが、残っているごみを撤去するというよりも、これ以上やらないでそっとしておいた方が良いという気がする。後は市民が不法投棄しないことを願う」と述べ、新たな予算で撤去を事業化することはないとの見解を示した。
市と業者が交わした協議書では、保良の2地区と友利を含めた3地区の残存ごみ(114・4㌧)について、業者が経費を負担して撤去するとしている。
さらに「業者は労基法、労働安全法など関係法令上のすべての責任を負うものとする」との文言も記されている。
しかし、現状において業者負担で現場の安全を確保した上で、作業を進める場合は、その負担がさらに大きくなることから、当局側もその対応を迫られていた。
一方、土壌調査で鉛が基準値を超えた「友利」については、今後調査した上で判断するとしている。
今回の市長視察を受けて、市では業者と交わした協議書を今後内部で協議した上で、その取り扱いについては判断するとしている。