黙とう、献花で犠牲者哀悼/市全戦没者追悼式・平和祈念式
戦争ない世界実現願う/市長「積極的に平和を希求」
2016年宮古島市全戦没者追悼式・平和祈念式が慰霊の日の23日、マティダ市民劇場で開かれた。多くの市民が参加し、黙とうや献花などを行い、沖縄戦の中で尊い命を失った多くの犠牲者に哀悼の意を示すとともに、戦争のない平和な世界の実現へ願いを込めた。下地敏彦市長は「平和を脅かす問題に対峙(たいじ)し、積極的に平和を希求する強い意志を持つことが大切」などとする「平和メッセージ」を発表した。
式では下地市長による式辞に続き、正午の時報に合わせ全員で全戦没者に黙とうをささげた。
市戦没者遺族会の川満俊夫会長は「先の大戦でかけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにしている」とした上で「再びあのいまわしい戦争の惨禍が繰り返されてはならない。私たちは御霊の犠牲を無にしないためにも温かいぬくもりのある社会づくりに頑張りたい」などとする「追悼のことば」を述べた。
代表献花では下地市長や川満会長、棚原芳樹市議会議長、久貝富一県宮古事務所長、宮國博教育長らがステージ上の祭壇に花を供え、戦没者の冥福を祈った。
下地市長は「平和メッセージ」の中で、戦争により引き起こされた過酷な歴史を忘れず、後世に伝えていく必要性を強調。世界では紛争やテロなどにより人間としての尊厳が踏みにじられる悲劇が今なお繰り返されている現実を踏まえ、「平和を脅かすさまざまな問題に一人一人が対峙し、積極的に平和を希求する強い意志を持つことが大切」との考えを示し、「世界平和の実現に向け積極的に取り組んでいくことを誓う」と語った。
平和を考える作文として池間中学校3年の具志堅智希君が「いつまでも」、宮古工業高校2年の赤嶺南緒さんは「『平和』について思うこと 『平和』のためにできること」と題した作文を発表。みやこ少年少女合唱団は「平和のうたごえ」として「月桃の花」と「平和の鐘」を歌った。
式終了後、参加者たちはステージ下に設けられた献花台に一人一人が花を供え、戦没者の冥福を祈り手を合わせた。
宮古島市では市町村合併後も戦没者追悼式は旧市町村単位で行われてきたが、主催する各地区の遺族会の高齢化などを理由に、昨年から市の全戦没者追悼式として市と市教育委員会の主催で開催。現在、市戦没者遺族会の会員数は15人となっている。