伊波洋一氏が初当選/現職島尻氏に大差
10万6000票差をつける
【那覇支社】第24回参議院議員選挙は10日、投票が行われ、即日開票の結果、沖縄選挙区(改選1)では無所属の新人で元宜野湾市長の伊波洋一氏(64)が35万6355票を獲得し初当選を果たした。自民党公認の現職で沖縄担当相の島尻安伊子氏(51)=公明、おおさか維新の会推薦=に約10万6000票差を付ける大差の勝利だった。伊波氏は憲法改正の動きや安倍政権の経済政策「アベノミクス」を批判。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設、消費税増税反対などを訴えながら、翁長雄志知事を国政の場から支えることを強調し、大票田の那覇市を中心に幅広い有権者の支持を得た。今回から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ未成年者の動向が注目された。投票率は54・46%で前回3年前を1・03ポイント上回った。
自民現職が議席を維持するか、無所属新人が奪還するかを最大の焦点に、18日間にわたって激しい選挙戦が展開された。
初当選を果たした伊波氏は、「オール沖縄」「新基地建設ノー」を掲げ、安倍政権と真っ向から対立。日本国憲法の理念と9条を守り、安保法制の廃止、日米地位協定の抜本的見直しなどを公約にした。
また、翁長知事が進める「21世紀ビジョン」や「アジア経済戦略構想」の実現に協力し、観光産業、地場産業、農漁業、中小企業の振興を図り、沖縄のさらなる発展を目指すとした。
離島振興では、航空、船舶運賃の低減で生活物資の輸送、住民間移動に対する支援の制度化、環太平洋連携協定(TPP)反対などを挙げ、先島への陸上自衛隊配備計画については反対を示した。
一方、敗れた島尻氏は、主な公約として子供の貧困対策と経済の着実な継続・発展、健康長寿を強調。「台所から政治を変える」をキャッチフレーズに、生活水準の向上を図り、住み良い暮らしづくりを訴えたが、浸透しなかった。
米軍属女性暴行殺人事件や、米軍関係者の度重なる飲酒運転など基地がらみの事件、事故が続いたことが逆風になったと見られる。
沖縄選挙区には、新人で幸福実現党県本部副代表の金城竜郎氏(52)も出馬し、中国が尖閣諸島周辺の接続水域に続き、鹿児島県の口永良部島西の領海に軍艦を侵入させたことを指摘。日米が合意した普天間基地の辺野古移設や先島への陸自配備計画にそれぞれ賛成の立場を示したが落選した。