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社会・全般
読書週間(行雲流水)
『みんな本を読んで大きくなった』(朝の読書推進協議会編)というタイトルの本がある。青少年によく読まれている作家たちが、子どものころの本との出会いや本を読むことの楽しみ、その意味について書いている
▼『ああ無情』(レ・ミゼラブル)でジャン・バルジャンは他人の窮状を見かねて一本のパンを盗んで、19年の懲役刑を受けるが脱獄、その後苦難に耐えて、強い精神力で人としての尊厳を全うする
▼このよく知られた物語について、青木和雄氏は書いている「偏見や貧困に苦しむ人々の存在を知り、弱者を差別する社会への疑念がわき、一面的なものの見方が偏見や差別につながると気づいた。この本は、私の心にはじめて思索の種を蒔いてくれた」
▼他の作家たちも、読書の魅力を次のような言葉で表現している。「世界を知る」「想像と発見の旅」「複数の人生経験」「今日を明日に紡いでいく弾みのようなもの」「自己の発見と他者への想像」「楽しさと充実感」「磨かれる理性と感性」
▼赤川次郎氏の「読書予防注射論」がある。人は成長していくにつれ、実に多くの悩みや苦しみに出合う。そのとき前もって本の中での種々の感情を経験していると現実の苦しみを乗り越えることが楽になる。読書の「予防注射」としての効用である
▼読書週間の標語には「はじまりは一冊の本だった」「思わぬ出会いがありました」などがある。今年の標語は「気がつけばもう降りる駅」である。青少年の現在と未来に、本のある人生を!