E3販売めど立たず/停止から2カ月余
市、消費者離れ懸念
バイオエタノールを混合した自動車用燃料「E3」が4月下旬から販売停止となり、2カ月余りたった現在も再開のめどが立っていない。基材ガソリンの供給元企業、南西石油が石油販売事業から撤退、事業継承先が決まっていないことが要因。市エコアイランド推進課では「環境省は県内でのE3事業を継続していくとしている」と期待するものの、消費者のE3離れに懸念を示している。
市は、分かりやすい地産地消型エネルギーとして市民らに利用してもらい、循環型社会の形成を目指していた。
販売停止が長引けば、市民の間でE3離れが出てくる可能性がある。市は徐々にではあるが高まってきた市民の環境意識や「エコアイランド宮古島」の発信力の低下に危機感を強めている。
加えて、環境省の事業を点検する「行政事業レビュー」の外部有識者が、県内でのE3の利用拡大を目指す事業を「廃止」と判定したことでさらに先行きへの懸念が広がっている。
E3を販売する給油所は、宮古島市の1カ所を含めて県内に57カ所設置されている。
しかし、いずれも基材ガソリンの調達に苦慮しており、現在は販売を一時停止し、再開するまでの措置としてレギュラーガソリンに切り替えて販売している。
宮古も同様で、給油所名や看板は「E3宮古給油所」となっていることから、利用者には状況を説明したり、張り紙で周知を図ったりしているという。
下地にあるバイオエタノール製造施設では現在、製造されたバイオエタノールをタンクに蓄えている状況。市エコアイランド推進課の善平勝次長兼課長は「基材ガソリンの供給が始まれば、いつでもE3燃料として利用できる」と話している。
E3は、キビの搾りかすからバイオエタノールを抽出し、ガソリンに混合させて自動車燃料として利用する取り組みで、宮古島市では2004年度から実証実験を実施。
14年5月からはガソリンに3%のエタノールを混合させたE3の一般販売がスタートした。