ラワン材、撤去開始/宮古島市
荷主が所有権を放棄/課題は撤去費用の確保
宮古島各地の海岸に10~15㍍のラワン材が漂着している問題で、宮古島市が撤去作業を始めている。台風1号接近前に荷主が所有権を放棄したため。これまでに大小8本を撤去した。今後の課題としては撤去費用の確保が挙げられる。県も作業に着手している。
漂着したラワン材は、パプアニューギニアから中国に向けて航行していた材木運搬船が沈没して流出したもの。流出した本数は推定560本。沈没した船の船倉には約1000本残っているとされる。
ラワン材は先島諸島の海岸に流れ着いており、宮古島には今年3月の確認時点で24本が漂着した。
荷主は当初、ラワン材を回収する意向を示していたが、今月初旬に発生した台風1号が先島諸島に接近する前に所有権を放棄。これを受けて市など関係機関が撤去作業を開始した。台風接近による高波で、船や水産物養殖施設を損壊する恐れがある漁港周辺のラワン材を中心に撤去した。
クレーンなどの重機を使用して撤去したラワン材は高野漁港内に搬送。これまでに狩俣で6本、島尻、高野で1本ずつ撤去した。
関係機関は引き続き撤去作業を進める。ただ、4月以降、新たに漂着したラワン材もあり、撤去費用の工面が課題になる。
宮古島への漂着ラワン材は累計30本以上に及んでいるものとみられる。1週間前には南海岸の下地地区内のビーチで確認され、3日前には保良漁港内に流れ着いて漁師を驚かせた。
今後も新たなラワン材が漂着する可能性は否定できない。関係機関は状況を見ながら対応する方針だ。
今年3~4月に漂着ラワン材を調査した防衛大名誉教授で工学博士の山口晴幸さんは、ラワン材の海岸放置が長期化すれば「海岸の自然環境や、船舶の安全航行に悪影響を及ぼすことが懸念される」とする所感をを本紙に寄せた。
ウミガメの産卵への影響について言及し、「大木がウミガメ上陸の障害や、孵化した稚ガメの障壁になりかねない」と指摘。台風接近による高潮・高波の襲来も懸念材料に挙げ、「ラワン材の大木移動は、海際の海浜林やマングローブ林のなぎ倒しを引き起こし、折損や損傷のダメージを与えて樹木を弱体化させる」との見解を示している。