市総合庁舎建設 単独事業との差額31億円
特例債期限内を強調/市、理解求める説明会開始
宮古島市(下地敏彦市長)は29日夜、市総合庁舎整備事業に関する市民説明会を城辺公民館で開いた。分庁方式の課題などを示して総合庁舎の必要性や、市の負担が軽減する合併特例債発行期限内での整備に理解を求めた。市は、概算事業費を57億9000万円とした場合、合併特例債を活用すれば市の負担額は15億8700万円になるが、単独事業では47億7400万円に上り、その差額は31億8700万円になることを示した。
庁舎建設を巡っては、市議会が「建設するか、しないか、まずは市民意見を聞くべきだ」として、市当局が6月定例会に提出した総合庁舎建設にかかる基本構想と基本計画を策定するための業務委託料(2400万円)を認めなかった。
説明会は、この市議会判断を受け実施するもので今後、下地、伊良部、上野、平良でも行われる。
説明会で市は、分庁方式で行政機構が分散化していることを指摘。市民サービスに支障を来していることや、災害時の初動活動への対応が遅れる可能性などを市の担当者が説明した。
また、各部局間の連携や協議に支障を来し、迅速な業務対応が困難な場合があることを示した。
さらには、会議や持ち回り決済で庁舎間の移動が多く、時間や労力、コスト面で業務効率の低下が懸念されるとした。
老朽化に伴う修繕費や、建築基準法に基づく現行の耐震基準以前の建築物であることも指摘。高齢者や障がい者に配慮したバリアフリー化も不十分だとした。
長濱政治副市長は、第2庁舎や上下水道庁舎、伊良部庁舎は築35年~40年以上経過し、老朽化していることを挙げ、「一つの庁舎で全ての業務が完結することが必要。災害時も一つの庁舎から初動対応することが大切」などと述べ、総合庁舎の必要性を強調した。
説明会に出席したのは、城辺地区地域審議会のメンバー約20人。「合併特例債の発行期限ぎりぎりまで、なぜ、今まで議論に上がらなかったのか」「総合庁舎を建設した後の支所機能はどうなるのか」「分庁方式でもメールやテレビ会議でやり取りできないか」「庁舎建設費だけでなく、用地購入費やインフラ整備、引っ越し費用などを合わせた事業費はいくらか」などの質問が上がった。
市は基本構想と基本計画を策定するための業務委託料が、市議会で削除されたことを挙げ、「庁舎の規模や面積、駐車場などは分からない」と話し、現時点では説明する資料に乏しいことに理解を求めた。
市は2016年度に基本構想と基本計画を策定、17年度には着工し、合併特例債活用期限の20年度には完成させる方針。
6月定例会で認められなかった委託料については、9月定例会に再度提出する予定だが、長濱副市長は「可決されても、合併特例債の発行期限内にはぎりぎりの状態だ」と述べた。