サテライトオフィス開設/市、IT企業を誘致
ICT会議で「働き方」模索
愛知県を拠点とするIT企業「タービン・インタラクティブ」が5日、平良港ターミナルビル内に宮古島サテライトオフィスを開所した。IT企業の誘致は市の重要施策の一つで、サテライトオフィスの開設は同社が初めて。開設を記念するディスカッションが開かれ、行政、経済界の代表らが宮古島におけるテレワークの未来を創造した。
企業が本拠地から離れた場所に設置するサテライトオフィスは、ICT(情報通信技術)を活用し、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を指すテレワークの促進につながる。
いつ、どこでも働けるテレワークは、仕事の多様化と柔軟性を生み出す。雇用の創出につながるため、若者の地方定住に伴う地域の活性化が期待される。
サテライトオフィスを開設したタービン・インタラクティブは、マーケティングに関するコンサルティングや、WEBサイトの企画設計・構築・運営などを幅広く手掛ける企業だ。
サテライトオフィスには当面5人の社員を置く。本土IT企業の社員が宮古島で働くという新しいスタイルの広がりは注目を集めており、開所式には下地敏彦市長ほか経済界からも多くの関係者が参加した。
志水哲也社長は「小さなオフィスだが夢が詰まっている。ここで新しいタイプの仕事を展開したい。宮古のためになるような場所にしたい」と決意を話した。
下地市長は「私たちの思いに応える宮古島サテライトオフィスの開設を本当に喜んでいる。ここは情報発信の核になる」と同社に感謝の意を表した上で、「今後も多くの企業を誘致していきたい」と力を込めた。
開設記念のテレワーク会議には、総務省や野村総合研究所、大学、行政、教育機関、企業の代表らが参加して意見を交わした。
市企画政策部の友利克部長は、総合戦略に掲げる雇用の創出について「どのように増やすかが課題。求人倍率は沖縄本島より良い数字だが若者が戻らない。求める職の多様性が不足しているからだ」と分析した。
その上でタービン・インタラクティブの取り組みを支持し、「ICTが根付く取り組みであり、仕事の多様性が期待できる。成功例にするために、支援していきたい」と話した。
志水社長は「仕事の形や働き方の価値観は変わってきている」と語り、若者がやりがいを持てる新しい仕事の展開を提言した。
野村総研の谷川史郎理事長は「自然環境だけではない何かが必要だ。離島の強みは、人のコミュニティーの濃さだ」と述べ、地域活性化への活用を促した。
早稲田大学大学院教授の三友仁志さんは「ICTを使うことでこの島ならではの仕事を生み出せることもある。まずは交流人口を増やした方が良い。多くの人が仕事を持ってここに来る環境をつくり出すことが大切だと思う」と話した。