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行雲流水
2016年8月9日(火)9:01

【行雲流水】「核廃絶に道すじを」

 『にんげんをかえせ』。「ちちをかえせ ははをかえせ/としよりをかえせ/こどもをかえせ/わたしをかえせ/わたしにつながるにんげんをかえせ/にんげんの にんげんのよのあるかぎり/くずれぬへいわを へいわをかえせ」。峠三吉の詩で、その詩碑が広島市の平和公園に建立されている

▼1945年、広島に原子爆弾が投下され、一瞬にして街を焼き尽くし、無差別に多くの市民を殺りくした

▼アメリカが原爆を投下したのは、ソ連のヤルタ会談による対日参戦の前に投下することが、戦後の世界戦略上有利と判断したからである。なぜか日本人はこの怒りと悲しみを沈黙の底に沈めてきた(山代巴)

▼ともあれ、今年の平和宣言で広島の松井一実市長はオバマ米大統領の「私の国と同様、核を保有する国々は恐怖の論理から逃れ、核兵器のない世界を追求する勇気を持たねばならない」ということばを引用、「非人間性の極みである絶対悪をこの世から消し去る道すじをつけるために連帯して行動しよう」と呼びかけた。長崎の田上富久市長も、今日9日、核廃絶への論議を前進させることを呼びかけ、日本政府には非核三原則の法制化等を求める

▼しかし、現実は厳しい。核保有国の、核を抑止力とする戦略は変わらず、国連・作業部会の「核兵器禁止条約」の交渉には否定的、消極的である。核保有国の保有数は、アメリカは約7000発、ロシアは7300、中国は250発で、依然多く、しかも改良がすすめられている

▼核廃絶は人類の存亡をかけた課題である。その実現への行動は、最優先されるべきである。

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