市民説明会3地区で終了/総合庁舎建設計画
副市長「否定的な声ない」/用地選定も大きな課題に
宮古島市(下地敏彦市長)は、市総合庁舎整備事業に関する市民説明会を城辺、下地、伊良部の3地区で終えた。長濱政治副市長は12日、本紙に3地区を終えた感想を聞かれ「造るべきではないという意見はない」と述べ、建設に否定的な声はなかったとの見解を示した。市は6月定例会で否決された庁舎建設のための基本構想と基本計画を策定する業務委託料を9月定例会に再度提案する方針だ。市民説明会は、市民意識や議会に委託料を認めてもらうための環境の醸成だが、出席者は20人に満たず、市民の関心は低い。同予算が可決され、建設に向けて動いたにせよ、今度は用地選定というクリアすべき大きな課題が控えている。
説明会では、分庁方式の課題や建物老朽化などを示して、総合庁舎の必要性や合併特例債期限内(2020年度末)での整備に理解を求めている。
城辺、下地、伊良部の3地区で開催し、上野(18日)、平良(24日)でも予定されている。
総合庁舎の概算事業費は、市の試算では57億9000万円。市の負担額は合併特例債を活用すれば15億8700万円だが、市独自の財源で実施すれば47億7400万円となり、その差額は31億8700万円になる。
このことから市は、負担額が大幅に軽減する合併特例債活用の必要性を訴えている。
しかし、概算事業費には用地購入費や造成費、インフラ整備費、引っ越し費用などは含まれておらず、最終的な予算額は膨らむ見通し。
一方で建設候補地は、総合庁舎の規模や機能などを示す基本構想と基本計画が策定されていないことから、白紙の状態だ。
長濱副市長は、現在は、敷地や立地条件、事業実施のための具体的な課題、条件が整理されていないことを指摘。「建物の大きさや何階建てか、駐車スペースなどが分からないことには候補地の選定には入れない」と述べ、まずは基本構想と基本計画の策定を先行して進めたい考えだ。
移転ではなく、現平良庁舎に造る計画については「それもあるが、そうなると別の場所に仮庁舎を造り、既存建物を取り壊さなければならず、予算がさらに増えることになる」と難色を示した。
仮に移転するとなると中心市街地が衰退するとして、周辺商店街などが危機感を募らせていることについては理解を示した上で「場所的なものは議会を含めて、もう一度市民の意見を聞かなければならない」と話した。長濱副市長は外部有識者や一般市民を交えての「庁舎等建設委員会」を設置し、既存庁舎の在り方も含めた幅広い観点から、建設候補地を絞り込みたい考えだ。