新しい歴史観を説く/日本民族大移動出版記念
研究家の大宜見さんが講演
宮古島市出身の古代史研究家の大宜見猛さん(91)が著した「日本民族大移動」出版記念講演会が13日午後、市中央公民館で開かれた。講演した大宜見さんは新しい歴史観を説き、民族の始まりを探求する古代史研究のロマンを語った。
南風原町在住の大宜見さんは、農園経営のかたわら古代史研究に打ち込み、沖縄、日本の新しい歴史観を著書にまとめた。
大宜見さんは、日本人のルーツとして縄文人と弥生人の二重構造説に触れ「骨による合理的な研究成果で不動の定説」としたが「縄文人と弥生人の正体がはっきりしない」と述べた。
その上で「縄文人が、1万2000年前の温暖気にアジア高原からスンダランドを経て日本列島を占有したとする見方は極めて合理的である」とした。
沖縄と宮古の伝承を手掛かりにして進めた研究結果から、「宮古島は縄文時代は大移動の基地で、後期は同時に殷帝国の通貨宝貝採集の基地でもあった」とする主張を展開した。言葉の母音が全国的に「5」で宮古だけが「10」であることとを紹介し、多くの殷人が宝貝採集で宮古島に来島したことから、「言葉や気質などで他島との違いが大きくなったと思われる」と宮古の二重構造を説いた。
最後に大宜見さんは「由緒ある二重構造にもう一度火をつけよう。自分は何者なのか。民族の始まりを知ることだ」と述べ、新しい歴史観への理解を求めた。
講演後は、大宜見さんと前琉球朝日放送社長の上間信久さんによるミニフォーラムが開かれた。
講演会は大宜見猛著書出版を実現させる会が主催した。共同代表の古波蔵和夫さんは「大宜見さんによる新しい歴史観は私たちに自信と誇り、勇気と希望を与える」と述べた。また、同じく共同代表の真榮城忠之さんは「一人でも多くの宮古島市民、出身者にこの本を読んでもらいたい」と来場者に呼び掛けた。