「積み重ねが大事」/興南高野球部監督我喜屋優さん
勝負への心構えで講演
甲子園春夏連覇を達成した興南高校野球部監督の我喜屋優(まさる)さんの講演会が21日、JA宮古地区本部ホールで行われた。我喜屋さんは指導した選手たちや、野球以外の一流選手たちとの出会いなどの実体験を通して勝負に対する心構えなどを紹介。「当たり前のことを当たり前にやる」「勝利の女神は、一生懸命やっている人を応援する」などと述べ、普段からの小さな積み重ねが目標を達成できる唯一の方法だと呼び掛けた。
講演会は、宮古島倫理法人会が「人材育成」を目的に開催した。
我喜屋さんは、1番打者として春夏連覇に貢献した国吉大陸さんを紹介。明治大学に進み、猛勉強して難関の公認会計士試験に合格したことを挙げ、文武両道の精神で励むことの大切さを訴えた。
また、大陸さんと双子の兄・大将さんについては、3塁コーチとして、腕を回し選手をホームに向かわせたと紹介し「的確な判断でチームを勝利に導いたことも何度かあった」と称賛。表で脚光を浴びる選手より、控え選手の役割がチームにとってはいかに大事であるかを説いた。
記者や評論家などから「春夏連覇の裏には何があるのか?」と問われた時には早起き、散歩、あいさつ、ごみ拾いなど、選手たちには基本的な生活習慣を徹底させたと言い「ウオーミングアップなど、やるべきことをしっかりと続ける。こういう時にはこういうプレーをしようという危機管理をしていれば、甲子園は怖くない」と語った。
「チャンスは目の前にあるからチャンスだ。ベストを尽くしてつかまなければいけない」と我喜屋さん。「それをつかむには、普段からの小さな積み重ねが大切」だと訴えた。
「他のスポーツ選手から大きな刺激を受けた」と話し、ハンマー投げの室伏重信さんとの出会いも披露。「口に入れる食べ物で体はつくられる」と言われたことや、練習はもっぱらウエートトレーニングだったことを紹介した。「世界で勝つことも、普段の生活の中で培っていくことが大事」と述べた。
「挨拶」は、「おはようございます」「こんにちは」だけでなく、相手のことを察する「相察」で、相手のことを知ろうとする思いやりの姿勢につながると強調。「相察は心と心のキャッチボール」だと野球に例えて実践を促した。
会場には小、中、高の野球選手や指導者、高校野球ファンらが大勢詰め掛け。我喜屋さんの実体験に裏打ちされた重みのある言葉や、時折りユーモアを交える講演に聞き入っていた。