生産能力調査に着手/天然ガス事業
ガス付随水を分析/利活用計画の策定へ
宮古島市は31日、天然ガスの生産能力を調べる事業に着手した。城辺保良地区の「城辺ぱり鉱山宮古R-1号井」の地下2000~2400㍍の八重山層群からくみ上げる天然ガスの付随水を測定・分析し、利活用計画の策定に生かす。天然ガスの埋蔵は、2012年度の試掘調査で確認されているが、生産能力は明確に示されていない。
調査期間は来年3月15日まで。揚水試験と環境影響調査、利活用の検討を同時並行的に行う。事業費は約3500万円を投じた。調査業務は祭温と合同資源の共同企業体が請け負う。
城辺ぱり鉱山の実用化に向けて、揚水試験を約6カ月実施する。これにより鉱山の生産能力を確認し、利活用に適切な天然ガスと温泉水の採取量を導く。
県内で初めて八重山層群から天然ガスが確認されたことにも着目。揚水試験を通して貯留層を評価する。
環境影響調査も重要な検討項目だ。保良川海岸へ放流する際に実施し、付随水の排水方法を確立する。温泉法、鉱業法に関するデータも取りまとめる。
日に城辺ぱり鉱山で行われた調査開始式で、合同資源の樋口康則理事鉱業部長は「きっちりとしたデータを蓄積し、今後の利活用に資したい」と決意。祭温の大見謝恒慈路社長は「城辺ぱり鉱山にどのような能力があるのかを調べる重要な試験になる。ガスと温水の活用についてしっかり検討していく」と述べた。
市企画政策部の友利克部長は「天然ガスは環境負荷の少ないエネルギーで、副産物の付随水、温泉水はさまざまな分野への展開が期待される」と述べ、エネルギー自給率の向上および資源の地産地消を期待した。
天然ガス事業は12年度に始動した。県が那覇市、南城市、宮古島市の3自治体で試掘調査を実施し、その存在を裏付けた。宮古島市は15年度、天然ガス資源利活用推進計画を策定し、新エネルギー活用を多角的に検討。今回の生産能力調査の実施につなげた。