サンゴ300群体、新たに採捕/海中公園建設工事
市、「除去した」と主張
宮古島市が平良狩俣の海域で進めている海中公園建設工事で、工事区域内のサンゴ約300群体が新たに採捕されていることが5日までに分かった。これに関して市は、掘削工事に伴う「除去」と主張しているが、採捕されたサンゴが掘削工事で影響を受けない海底に並べられており、放置するのか、移植するのかは未定。「サンゴの移植は完了した」と繰り返してきた市の対応が注目される。先月下旬のしけで移植サンゴに付着した砂は5日の作業で除去された。
県の規則によって許可のない採捕は原則認められていない。市海中公園プロジェクト室によると、今回採捕したサンゴは掘削工事用の汚濁防止フェンス下方のチェーンがサンゴに当たるため、工事請負業者の判断で「除去された」という。すでに掘削工事を始めているため、岩礁破砕の作業工程でサンゴを取り除いたとしている。
ただ、「除去」された300群体ものサンゴが破砕されず、掘削工事で影響を受けない海底に並べられているため、市はサンゴ保護の観点から難しい対応に迫られている。
これまで市は「移植できるサンゴはすべて移されている」などとする立場に固執。「まだ1500群体は移植できるはずだ」と主張する市民団体の要請は受け入れない姿勢を示してきた。しかし、工事区域内から、業者の判断とはいえ約300群体のサンゴが採捕されたことから整合性の面で疑問符が付く。
採捕されたサンゴが市が主張してきた「移植できるサンゴ」に該当するのかどうかは未定だが、海底に置かれたままのサンゴの取り扱いには難しい判断が求められそうだ。
一方、移植された複数のサンゴに付着していた砂は5日までに除去されたが、死滅しているかどうかは不明。