地域で子孫繁栄願う/下地来間島
「ヤーマスプナカ」始まる/きょう棒振り、奉納踊り
下地来間島の伝統行事ヤーマスプナカが9日、2日間の日程で始まった。初日は3兄弟の家元で子孫の繁栄を祈願する「サラピャース」と「マスムイ」の儀礼が行われた。生後1年未満の子供の誕生を祝って島民が神酒を回し飲み、子孫繁栄とさらなる島の発展を願った。きょう10日は「雨乞い座」と呼ばれる広場で島の子供たちも参加した棒振りや奉納の踊りが行われ、島民の無病息災と五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する。
旧暦9月の甲午の日に行われる島最大の行事。その昔に来間島を救い、繁栄させたと伝えられる3兄弟の家元(長男スムリャーブナカ、二男ウプヤーブナカ、三男ヤーマスヤーブナカ)を中心に祭事が行われる。
祭り初日、二男のウプヤーブナカでは、午前8時ごろからサラピャースが始まった。
家主の砂川輝夫さんらが神酒を注ぎ、住民に振る舞った。島の関係者が子宝に恵まれた1年を祝い神酒を回し飲む間は、老若男女を問わず全員で神詩を歌い、生まれた子供の健やかな成長を願った。
この後、マスムイが行われ、ここ1年で生まれた子供4人が紹介された。父親らがあいさつに立ち、新しく生まれた命を島全体で温かく見守ってくれる島民の気持ちに感謝の言葉を述べた。
昨年の12月24日に生まれた真穂ちゃんをお披露目した嘉手納町在住の洲鎌亮さんと有香さん夫婦は「こうして地域で生まれた子供のことを盛大に祝ってくれてとてもうれしい。健やかにまっすぐな優しい子に育ってほしい」と笑顔で話した。
家主の砂川さんは「島の発展のためにこれからもヤーマスプナカをしっかり継承して地域の活性化につなげていきたい」と述べた。
来間島に偶然訪れた観光客らもヤーマスプナカの行事に興味津々の様子で見入り、笑顔いっぱいのお年寄りたちが子どもの誕生を祝う姿をビデオやデジタルカメラで撮影する姿も見られた。