タクシーと温泉が割引/高齢者 運転免許返納で
協力企業と警察が覚書/県内初の取り組み
宮古タクシー事業協同組合(豊見山健児代表理事)、宮古島温泉ホテルなどを運営する更竹流通(中村勝哉代表取締役)と宮古島署(大城辰男署長)は7日、「高齢者の運転免許証返納メリット制度」の覚書を締結した。覚書の締結により、返納者に身分証明書代わりに発行する「運転経歴証明書」を提示すれば、タクシーは乗車料金が1割、温泉の入湯料は一般料金の900円が500円にそれぞれ割り引きされる。同署によると、県内初の取り組み。
協力企業は現在2社だが、警察ではさらに増やして、高齢者の運転免許証の自主的返納につなげたい考え。
宮古島署内で行われた締結式で大城署長は「各企業が制度に賛同してくれた。これを一つのきっかけとして、宮古島市全体に広がっていけば」とあいさつした。
タクシー事業協組合の豊見山代表理事は「高齢者が安心して利用し、事故のない安全な宮古島に結び付けていきたい」、更竹流通の中村代表は「高齢者に少しでも協力できればと思い、賛同した。今後もさまざまな分野で協力していきたい」とそれぞれ話した。
宮古島地区交通安全協会の新里孝行会長は「安い運賃でタクシーを利用し、温泉に入って健康になってほしい」と祝辞を述べた。
免許証返納促進検討会会員の宮古島商工会議所や同安全協会のメンバー,宮古島署員らが立会人として締結式を見守った。
「返納メリット制度」は、免許証返納後、移動手段に困る高齢者などへの支援策で、全国では自治体やバス、タクシー協会などが料金割引などの優遇策を実施している。宮古島署によると、他府県では「買い物ポイント」の加算や眼鏡、補聴器の割り引きなどの優遇策があるという。
また、デパートなど業界団体が連携して、割引や購入商品の配送料を無料にするなどの取り組みを導入している自治体もある。
高齢や健康上の理由などで免許証を返納した人は、同署が自主的な奨励を進めた昨年から数えて計96人。
同署管内では65歳以上の免許保有者の割合が24・5%で、県平均の1・6倍となっている。
このことから、高齢者の絡む交通事故の増加が懸念されており、事故防止対策が課題となっている。