宮古民話を方言で語る/ケナンさんと平良さん
味わい深く大切さ実感
下地地区に滞在し宮古方言の研究に取り組んでいる京都大学院生のフランス人、セリック・ケナンさん(28)が主催する「クガニミャークフツ・カギウグナーズ」が8日、市内の喫茶店で開かれた。ケナンさんと平良ヨシ子さん(83)の2人が、古くから伝わる宮古民話を味わい深く語った。観客らは、改めて民話の素晴らしさや大切さを実感した。
ケナンさんは、下地地区に伝わる民話を紹介した。民話の前段では「昔、弓の事故に遭って片目が見えないタカラアズという兄とウラシマウプヌシという弟の兄弟がいた。弟は兄の所に行った時、兄には見えない方向から物を上げようとした。兄には物は見えなかった。弟はそれを面白がっていたが、兄は心を傷つけられたと怒り、弟を殺した。弟の子供がそれを見て『必ず、あだ討ちする』と思った」と語った。
中段では「何年か経ち、来間島に祝いがあるとして
、タカラアズと弟の子供は舟に乗って行った。タカラアズは子供に向かって『歌っていいから』と言った。子供が即興で歌うと、タカラアズは『歌詞の中に恨めしの言葉があり、私を殺そうとしている』と思った」と話した。
後段では「帰りの舟で、タカラアズは、子供に向かって『海に潜って魚を捕って来い』と告げた。子供は潜って戻ると『でっかい魚がいるから一緒に潜って捕ろう』と誘った。タカラアズは潜ったが、子供に殺された」と締めくくった。
平良さんは、民話の魅力をたっぷり語り伝えた。観客らは、大きな拍手でたたえた。