子牛生産「10年後は危機的状況」/市肉用牛産地協
高齢者主体に懸念/意見交換で現状と課題探る
市肉用牛産地協議会(会長・砂川一弘市農林水産部長)は20日、市役所上野庁舎で「肉用牛繁殖増頭の現状と課題、その対応について」と題した意見交換会を行った。管内の経営状況から、60歳以上の高齢者や小規模農家が主体となって子牛生産地を形成していることが浮き彫りになった。「現状のまま推移すれば、今後10年のうちに危機的状況に陥ることが強く懸念される」として①傷病事故対策②妊娠鑑定の順守③削蹄の推進④伝染病予防対策-など、正確な情報を農家に伝えていく講習会の開催を確認した。
宮古の肉用牛の経営状況は5年前と比べ、飼養頭数、農家戸数ともに大幅に減少している。
比例して宮古家畜市場への子牛上場頭数も5年間で約1100頭減少した。
生産農家戸数を年代別で見ると60歳以上が71%、40~59歳は26%で、20~39歳は3%(20代は0%)となっており、高齢化が顕著に進んでいる。
規模別農家割合は10頭以下が72%と最も多く、11~20頭は18%、21頭以上は10%で、小規模農家が主体となっていることが伺える。
意見交換では、子牛価格が高値で推移していく一方、将来的には子牛産地として危機的状況に陥ることが懸念されると指摘があった。
会員からは「運動不足で背が低く太っている牛が多いため、農家には牛を放すよう指導しているが浸透しない」「削蹄すると流産するといううわさが農家の間で広がっている」などが報告された。
このため、同協議会を構成する関係機関が連携して、正確な情報を伝える講習会の開催を各地区で開催することなどを確認。今後は、質量を兼ね備えた拠点産地の構築へ向け、さらなる振興支援策が必要だとした。